研究課題
世界で最も早くから地下水人工涵養と帯水層蓄熱利用を行ってきたフィンランドと温帯地域にある日本との比較を行う事により、大規模蓄熱法の自然界に及ぼす不安定要素を検証する事を目的として1)蓄熱井戸特性の変化、2)微生物の繁殖状況、3)帯水層浄化能力、について調査研究を行ってきた。Lappenrantaでは1972年から、地下水人工涵養法による上水の供給を行っている。Rajamakiでは1974年より醸造プラントの冷却水として地下水の人工涵養・循環利用を行っている。Kuopioでは1985年より上水場の源水前処理施設として帯水層人工涵養法が採用されている。他方、日本では山形大学ソ-ラアクイファが1982年から地下帯水層蓄熱法の季節蓄熱利用を目指し、蓄熱実験を繰り返している。両国の比較調査により以下のような結論を得た。1.フィンランドでは25年にわたる長期記録を誇るが、帯水層蓄熱に起因する水質変化、微生物の異常増加、涵養池あるいは涵養井の目詰まり現象は、認められていない。2.浸透池では鉄バクテリアと藻類の繁殖により、浄水能力が向上している。3.井戸法による帯水層蓄熱では帯水層鉄コロイドダムの形成により熱回収率が向上し、さらに、浄水能力が発揮されることを確認した。
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