研究分担者 |
平川 一彦 東京大学, 生産技術研究所, 助教授 (10183097)
榊 裕之 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (90013226)
三浦 登 東京大学, 物性研究所, 教授 (70010949)
浜口 智尋 大阪大学, 工学部, 教授 (40029004)
安藤 恒也 東京大学, 物性研究所, 教授 (90011725)
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研究概要 |
本年度は以下の研究を行い成果を得た。 (1)半導体超微細加工プロセス・評価技術に関しては,選択的結晶成長法や電子線描画装置を用いて,10nmサイズの極微細構造を作製するプロセスを確立した.また,減圧下での結晶成長法を用い,10nm以下の半導体量子ドット構造を自然形成させる技術の開発にも成功した.これらの半導体微細構造は,GaAsやInAsなどの化合物半導体のみならず,Siにおいても作製に成功している. (2)メソスコピック領域の電子物性の研究では,まず強磁場中の二次元電子系について検討し,素子境界付近に形成されるエツジ状態のコヒーレンス長が極めて長いことを初めて実験的に示した。また量子ホール効果が電流増加に従いブレークダウンする機構を明らかにした.量子ホール効果状態にある半導体ヘテロ構造中の2次元電子系の電気抵抗が遠赤外光の照射に伴い敏感に変化することを発見し,その機構を明らかにするとともにこの効果を超高感度遠赤外線検出器として利用できる可能性があることを示した. (3)新高機能デバイスの探索では,種々の新しい概念をもつデバイスの研究で成果をあげた.まず,InAs量子ドットをチャネル近傍に埋め込んだ新しいトランジスタ構造を作製し,量子ドットの帯電効果をメモリーとして用いることができることを示した.また,同様の構造をSiでも作製し,将来の集積回路応用が可能なメモリデバイスの動作を室温で確認した.一方,極微細量子ドットをチャネルとするシリコン・トランジスタを作製し,単一電子のトンネル現象を室温において観測することに成功した.また,ドット内の量子準位間隔を実験で求め,単一電子帯電効果だけでなく量子効果も大きな役割を果たしていることを明らかにした.
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