研究課題/領域番号 |
07044121
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
五神 真 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (70161809)
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研究分担者 |
島野 亮 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (40262042)
花村 榮一 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (70013472)
SUMITENDRA M University of Arizona, Department of Phys, 準教授
NASSER Peygh University of Arizona, Optical Sciences C, 教授
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キーワード | 励起子ストリング / 電荷移動励起子 / 非古典光 / 光誘起伝導 / 励起子分子 / 非線形光学 / フェムト秒分光 |
研究概要 |
申請者と共同研究のメンバーはこれまでに擬1次元の電荷移動結晶において、複数の励起子の束縛状態が安定に存在することを見いだした。本研究では、この研究を発展させ、この現象の物理的な機構を明らかにし、その非線形光素子への応用法を検討することを目的として進められている。このために、日米の研究者が実験、理論理論から互いに協力して系統的な研究を行っている。本年度は基礎的な側面として、物質の次元性とクーロン相互作用の長距離性がどのように関わって、多数の励起子を安定に束縛するのかを明らかにするための基礎的な実験をおこなった。さらに,電子あるいは正孔と励起子の複合粒子の安定性について検討し、光励起によるキャリアー輸送過程の研究を進めた。 理論面では数値計算理論により、多励起子状態の電子状態が詳細に研究され、非線形光学応答発現の機構がかなり明らかになってきた。また、多数の励起子が量子論的コヒーレンスを持つ場合に放出される光が非古典的になることが示された。 実験面ではアントラセンPMDA結晶において電界下での光励起電荷輸送の実験を行った。光によって電荷移動励起子を生成するとそれまで局在していた電荷が電界の方向に引かれて移動することが見いだされた。これは擬1次元系での長距離のクーロン相互作用が、多励起子を安定化するだけでなく電荷と励起子の結合系も安定化することによると考えられる。ここで見いだされた現象は新しい結合系を媒介とする新しい光伝導機構として注目すべき成果である。現在詳細な実験が東京大学で進められている。
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