研究課題/領域番号 |
07044125
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
西永 頌 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (10023128)
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研究分担者 |
HUO C. 中国科学院物理研究所, 準教授
GE P. 中国科学院物理研究所, 準教授
NIE Y. 中国科学院物理研究所, 副所長 準教授
成塚 重弥 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (80282680)
田中 雅明 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (30192636)
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キーワード | 微小重力 / 宇宙実験 / スペースシャトル / GASプログラム / GaSb / 融液成長 / Te不純物 / ブリッジマン成長 |
研究概要 |
本年度は、中国の回収型衛星を用いて成長させたGaSbに関し、Te濃度の絶対値を空間分解フォトルミネッセンス法(SRPL)で正確に決定する目的でSRPLエネルギーとTe濃度の関係を与える較正曲線を作成した。種々のTe濃度を持つGaSbを用意し、ホール効果によりTe濃度を決定し、同時にSRPL測定によりPLエネルギーを求めた。この較正曲線により成長結晶の縦断面および横断面におけるTe濃度の絶対値とその分布を決定することができた。これによると宇宙ではマランゴニ対流は仮に存在しても定常流であり、かつその速度は遅く、不純物ド-ピングは殆ど拡散支配により行われていることが判明した。 これを裏づけるため計算機シミュレーションを行った。そのため平面状自由表面境界モデルと円柱状自由表面モデルを用い、ナビエ-ストークスの式を数値的に解き、その流速分布を求めた。それによると自由表面に温度差が1〜0.1℃程度あっても、マランゴニ流が引き起こされ、流れは自由表面上高温側から低温側へ向かうが、低温壁に来ると内部へと流れ、中心線に沿って、低温部から高温部へと循環することがわかった。この流れに対し、流速境界層モデルを適用し、不純物分布を計算すると、温度差が0.1℃と少ない場合にはSRPLにより測定したTe濃度分布と良い一致を示す分布が得られた。しかし0.1℃という温度差はあまりに少ないと考えられる。一方GaSb融液は真空封入したアンプル管に収納されており、その中の真空度はそれ程高いとは言えず、そのことを考えると、融液表面に非常に薄い酸化膜が形成されていた可能性も否定できない。この場合、酸化膜がマランゴニ流を抑制するので、Te不純物濃度分布は拡散支配に近いものとなる。
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