研究課題/領域番号 |
07044126
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
藤元 薫 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (30011026)
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研究分担者 |
YAN Youn Bin ロシア科学アカデミー, 海洋地質研究所, 所長代理
岩澤 康裕 東京大学, 大学院・理学系研究所, 教授 (40018015)
諸岡 良彦 東京工業大学, 資源化学研究所, 教授 (70016731)
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研究期間 (年度) |
1995 – 1996
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キーワード | 天然ガス / エネルギー / ロシア / 触媒 / 合成ガス / 炭化水素 |
研究概要 |
平成7年9月19日から9月29日まで、日本側から大学教授ら7人はロシアのモスクワとノボシビルスクを訪問し、ロシア科学アカデミー化学物理研究所、石油化学研究所、触媒研究所、有機化学研究所;全ロシア石油精製技術研究所、Kapotnya石油精製工場、モスクワ製油所などを見学し、交流を行った。訪問した研究所などでは若手研究者が極度に減少しており、大学院学生を含め研究に従事している活動状況は困難を極めている状況である。研究に必要な分析解析装置は老朽化しており日本の大学、研究機関での15-20年前の状況である。また、研究機器の維持管理、補修などは全くなされていない。中心的研究指導者である教授や研究員の大半は海外への共同研究などで不在であり、研究内容の質的評価は極めて危機的状況にあるといえる。学術的基礎研究へのサポートが少なく、企業研究の受託による実用化のための応用改良研究といった短期間プロジェクトが大半の研究内容であるため、総合的インセンティブな本質的創造的研究成果が少なく、将来展望の上で多くの問題を抱えている。ガス関係の工場では設備は古く、メンテナンスも貧弱である。 平成8年1月5日から12日まで日本側一人はモスクワのロシア科学アカデミー石油化学研究所、有機化学研究所;全ロシア石油精製技術研究所、モスクワ製油所を訪問しました。やはりロシアの財政難による研究の遂行は困難である。 平成8年2月4日から3月31日までロシア側一人(東京大学に2年間留学したことがある。現在石油ガス工業省の研究部門に勤務している)は日本に滞在した。東京大学と京都大学で天然ガス関係の触媒開発を行った。 平成8年6月23日から7月3日まで若手中心であるロシア側の天然ガス研究者および研究管理者5人を招聘し、東京大学、東京工業大学、筑波の資源環境技術総合研究所、京都大学、大阪大学を見学させた。日本の天然ガスに関する研究および技術開発の現状を紹介した。ロシア、特にロシア極東地域天然ガスの利用についても討論した。天然ガスはよくLNG(液化天然ガス)にして輸送されているが、日本の新技術を応用して、現地で炭酸ガスと反応させてジメチルエーテル化されてから輸送されると、コスト削減と環境保全により適当であると認識した。 9月13日から9月23日まで、日本側から藤元ら二人とロシア側一人はシベリア地区にあるロシア最大の天然ガス産地であるヤク-ツクと、同地区のイルク-ツク、ハバロフスクへ行って、ロシアの天然ガス産業現状を調査した。同国の経済事情によって、各天然ガス会社も厳しい市場経済の中で競争しないといけない。大部分の会社では生産装置の老朽化は著しく、生産効率は低下している。酷寒の環境にも関わらず、中には従業員の給料支払いは数ヶ月も遅れた会社も有った。自活するため、カナダなどの海外パートナーと提携して、現地の金、白金、ダイヤなどを採掘している会社もあった。 10月15日から10月25日まで日本側諸岡ら3人はロシアのモスクワとノボンビルスクへ行って、ロシアにおける天然ガスの利用に関する研究調査をした。モスクワではロシアアカデミー化学物理研究所と石油化学研究所、モスクワ大学、人民友好大学、ロシアアカデミー本部を訪問して講演を行った。ノボシビルスクではロシアアカデミー触媒研究所を見学して交流会も開催した。研究経費の不足によって、ロシアの天然ガス関係の研究は世界のトップレベルと比較すると、まだ距離があると感じた。しかし、ロシア側は外国と連携して豊富な天然ガス資源の開発と利用にかなり期待している。
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