研究課題
平成8年度の日本側TS-3実験の大きな成果は、軌道に乗ったトカマク合体運転を用いて実現した3成分磁気リコネクションの電流シートの異常抵抗機構が、磁化、あるいは非磁化状態のイオンによって決定されることを解明したことである。基盤研究(c)の研究計画に従い、分解能を1cmまで高めた磁気計測とイオン温度計測を駆使してX点領域の電流シートの電流分布やイオンラ-マ半径を詳細に計測した。その結果、電流シート幅が圧縮されてイオンのラ-マ半径を下回ると、電流シートの抵抗が急増し、さらにイオンも異常加熱される現象が明らかになった。これにより、イオンラ-マ半径を低下させるXラインに平行な磁場の印加による磁気リコネクション速度の低下(3成分磁気リコネクション効果)や、外部駆動力による電流シート幅の圧縮による同速度の向上(駆動型磁気リコネクション効果)が統一的に説明できた。米国側からも日本へ山田らを招へいして、TS-3実験と理論、計算機シミュレーションの対応について検討を行ない、それらが良く一致することを明らかにした。一方、、米国側MRX実験は、日本側から桂井、小野らを派遣して合体実験のソフトウエアやノウハウを移転したことによって、運転を本格化することができた。TS-3実験とは異なるスフェレータ運転により磁気リコネクションの3成分磁気リコネクション効果を磁気計測主体に検証した。その結果、Xライン磁場の有無によってOポイントやYポイントがそれぞれ生成され易くなることが判明した。以上の成果は、IAEA国際会議や1996年米国物理学会プラズマ物理部門の招待講演などを通じて公表した他、Physics of Plasmas誌の招待論文への掲載が決定している。
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