研究課題
本年度は、進展しているTS-3、MRX両プラズマ合体実験の結果を、互いに、或いは理論、計算機シミュレーションと比較、検討する形で相互協力を行った。4回の国際会議での成果公表や、3回の相互訪問の際、両実験グループにプリンストン大学、核融合科学研究所、テキサス大学理論グループ等を加えた討論を行った。電流シート幅がイオンラ-マ半径を下回ることにより磁気リコネクションの異常拡散やイオン異常加熱が引き起こされるとのTS-3実験結果は、核融合科学研究所やテキサス大学のマクロ粒子シミュレーション結果に定性的によく一致することが判明した。イオンの磁化運動が非磁化運動に転移する時点で何らかのミクロ不安定が発生し、異常拡散とイオン加熱を引き起こされることが結論された。これにより、外力によってシートを圧縮しても、小さなXラインに平行な磁場成分の印加でイオンラ-マ半径を大きくしても、リコネクション速度は向上するとの駆動型磁気リコネクションの3成分磁場効果のメカニズムを明らかになった。MRX実験によるYポイントやOポイントの形成などについても、Xラインに平行な磁場成分の効果によって電流シートに磁気島が形成されやすい点がリコネクション速度の低下につながる点が双方の実験、シミュレーションで判明した。TS-3に比べ、ゆっくりした磁気リコネクション現象をカバーするため、MRX実験の年流シートには磁気島が成長する反面、電流シート幅はイオンラ-マ半径よりも常に大きいことがわかた。以上、実験、理論、計算機シミュレーションの3つの立場から、電流シートの微視的不安定や微視的構造変化がリコネクションの巨視的な促進に繋がることが判明した。また、TS-3実験で開発された可視光トモグラフィーのソフトウェアをMRXに移設し、磁気レイノルズ数1000を達成したMRX実験の特徴を生かして、磁気プローブ挿入を必要としない非接触の多次元プラズマ形状計測を開始するに至っている。
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