研究課題
オハイオ大学児玉教授と共同で行っている理論分野の共同研究では、ファイバーの分散値を適当に変化させる、いわゆる分散支配の方法を用いて、波長分割多重通信において増幅器中のソリトン間の衝突時や増幅器を通過したときのソリトンから発生する放射波の影響を低減する方法を研究した。この成果は平成7年9月に行われたヨーロッパ光通信会議(ECOC)において長谷川が招待講演で発表し、また光ソリトン通信の国際シンポジウム(於京都平成7年11月14〜17日)でも児玉が招待講演で発表した。この方法により、従来困難とされていた光ソリトンの波長分割多重が可能になる見通しがついた。一方NRZ通信方式の理論解析を行い波形歪みの原因を解明し、その解決法を提案した。これらの結果は雑誌論文リストに示す通り、いくつかのOptics Lettersの論文として出版または投稿されている。スウェーデンチャルマ-ズ工科大学アンドレクソン助教授との共同研究では、本年度は、国際コミュニケーション基金の援助を得て7月に約3週間招聘した。文部省科学研究費特別推進研究の援助を得て行っている10GHz光ソリトン周回伝送実験を共同で行った。また、波長多重ソリトン伝送を行う際に問題となる送信端でのソリトンの重なりを低減する一手法として、単一モードファイバの分散を利用する方法を提案した。実験でMQW変調器出力の10GHz×2波長光パルスを分散補償ファイバに伝送し、変調器の周波数チャーピングを補償しつつ、ソリトン重なりを解消できることを確かめた。
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