研究課題
巨大都市が抱える社会的問題のうち、この研究においては水関連社会基盤と水環境に関わる課題を取り上げ、日本においては主たる都市域として大阪湾ベイエリア都市、中国では北京市を主たる対象とし参考として上海市および天津市を選択し、実態調査と国際比較をしている。今年度は研究の討議を北京市で2回、大阪・神戸で各1回行い、その機会を利用して対象都市の水関連社会基盤施設を視察した。研究討議を通じて得た主たる成果は以下の通りである。寝屋川低平地都市河川流域(大阪府)は、都市化の進行に対応して内水処理を含む洪水制御施設の構築が進行中であるが、下水道普及および洪水対策とはうらはらに河川水量の減少、河川環境と親水性の低下が懸念される。このような同様の事態は北京市には見られないが、地下水汲み上げによる地下水位が河川水位低下を呼ぶという現象がある。また、北京市の洪水は、その年雨量が大阪の約半分であるにも拘わらず、降雨期間が集中することによって都市河川が危険な状態になることがある。従って寝屋川流域の諸施設の視察により中国側研究者が北京市の洪水制御に対する適用性が検討され、この課題を今後追求することが肝要と考えられた。これ以外に北京市の水不足を補うため、密雲ダムからの導水があり、三峡ダムからの大運河の計画もある。これらの水資源開発の方式は日本との比較において興味ある課題であった。特に、阪神大震災による水環境施設の被害と今後の復興計画を課題にとりあげ、討議を行った。これを含め3回のフォーラムにより14題の論文が話題となり、これらを今年度のフォーラム論文集として印刷することができた。
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