研究課題
巨大都市が抱える問題のうち、水に係わるものとして治水と水供給のバランス、水環境問題への取り組みを主に検討を進めてきた。本年は研究期間の2年目に当たり、中国への派遣を2回、日本への外国研究者来日1回を実行し、中国、日本で各1回ずつ研究フォーラムを開催した。6月の中国への派遣時には、中国の直轄都市の一つである天津市において、フォーラムを開催、フォーラムの課題に関連して天津市街地区に関する下水道施設、および海河に沿う渤海までの洪水制御施設を見学した。これにより天津地域では上水供給が下水施設より優先していること、海河の洪水制御の規模が大流域であるにも拘わらず小さく、農業用水と関連する特異な水利用形態を持っていることが判った。10月の派遣においては、北京市の水ガメである密雲ダムの見学と、北京市の代表的下水処理場を見学することにより、水の循環を日本の大都市と同様の循環系で評価できると確信し、中国側研究者の検討とその収集資料をもとに北京市の水収支図を作ることに一応成功した。11月の中国研究者の来日時には大阪大学でフォーラムを開催、大都市の水収支と水制御問題について論じ合った。また大阪府の高潮防潮水文を中心とする治水施設および寝屋川流域の下水処理場を見学し、大阪の市街地の水制御施設について理解を深めた。寝屋川流域の将来に向けての水制御については別途研究を進めており、河道ネットワークについて各種貯留施設を含めて、流量追跡と貯留量追跡を行い、大胆な水量輸送システムの導入により将来の水環境整備する可能性を確かめた。
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