研究課題
国際学術研究
巨大都市が抱える問題のうち、水に関わるものに(1)治水、(2)利水、(3)水環境がある。本研究では北京市(市街地域)および大阪湾岸域を対象としたが、両地域の水問題には共通する課題もあれば、そうでない点もあった。(1)に関しては北京においては降水量が少ないこともあって特に問題ではない。ただし、中国において洪水がないということでなく、少なくとも市街地中心部で氾濫が起こるというわけではない。大阪においては集中豪雨のような異常時はビル街、住宅地を問わず氾濫の危機を抱えている。特に低平地市街地では寝屋川流域に見られるように大規模な治水施設が必要であり、このことと水環境の保全や創造に今後大きく係わる傾向がみられる。(2)に関しては、北京においては周辺の地下水利用からダム貯水池の表流水への転換が進んでいる。これによって地下水位の回復など好ましい状態も生ずるが、大規模な導水計画があって広域的な水環境変貌は予想もつかない。大阪をはじめとする湾岸部では、琵琶湖を水源とする上水システムが限界状態にきており、これによって自然からかけ離れた水収支状態になっている。(3)は本研究のまとめの目標であり、地球環境問題に沿った水循環の保全の中で、巨大都市が考えねばならない課題が抽出された。日本においては高齢化社会、少子化社会にも対応する必要がある。
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