研究概要 |
本年度では,前年度の研究成果を基に実環境で動作するシステムを目指して,ロボットの視覚として必要な小型軽量の全方位センサの開発,ロボットの協調動作アルゴリズムの見直し,実環境における実験を行った. まず,ロボットの視覚として全方位の画像を実時間で撮像可能な全方位センサを開発した.この全方位センサは従来の全方位センサと比べて以下の特徴を持つ. (1)全方位鏡を支える円筒ガラスの内面反射を防ぐ撮像機構 (2)金属加工による曲率の高い全方位鏡 全方位センサは全方位の画像を映し出す回転対称体の鏡と,それを支える器具からなる.鏡を支える器具としては,円筒ガラスが最適であるが円筒ガラスには,その内面反射を鏡に映し出すという欠点がある.これを克服する方法を考案した.また,回転対称体の鏡の曲率は全方位画像の垂直方向の視野の広さに関係するが,視野の広い全方位画像を得るには曲率の高い鏡を用いる必要がある.金属加工技術によりこれを可能にした. 次に,この全方位センサを用いて協調動作する複数のロボットのための相対位置検出アルゴリズムを開発した.前年度の研究ではロボットが互いに相手を同定できることを前提としていたが,そのアルゴリズムをより一般化し,相手の同定と相対的な位置決めを同時に行うアルゴリズムを開発した.このアルゴリズムにより,全方位センサを搭載する複数のロボットは,障害物が存在する環境においても高速にかつ頑強に互いの位置関係を発見することができる.このアルゴリズムは複数ロボットの協調行動における基本的なアルゴリズムの一つであると考える. 最後に,上記の2つを用いて,実環境において実験を行い,複数ロボット間で実際に位置関係を発見することが可能であることを確認した.
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