地下採掘に関する地盤環境保全の共同研究

1996 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 07044157
• 研究機関: 九州大学
• 研究代表者: 江崎 哲郎 九州大学, 工学部, 教授 (40038609)
• 研究分担者: 揚 林徳 中国同済大学, 岩土工程研究所, 教授 ; 孫 鈞 中国同済大学, 岩土工程研究所, 教授 ; 虞 万波 中国石炭科学総院, 唐山分院鉱山測量研究所, 副所長、研究員 ; 崔 継憲 中国石炭科学総院, 唐山分院, 院長、高級工程師 ; 翁 家傑 中国鉱業大学, 鉱山建築系, 教授 ; 何 満潮 中国鉱業大学, 北京研究生部, 教授 ; 宋 振騏 山東鉱業学院, 鉱圧研究所, 教授 ; 斉藤 玄敏 九州大学, 工学部, 助手 (70264091) ; 鹿田 光一 九州東海大学, 工学部, 講師 (50243902) ; 将 宇静 九州大学, 工学部, 助教授 (50253498)
• キーワード: 地下開発 / 地盤沈下 / 環境保全 / 採掘技術 / GPS計測 / 解析 / 監視

研究概要

中国の石炭は年産12億tを越え、世界の40%を越えるに至っている。そして、その石炭エネルギーの使用が地球規模に及ぶ環境問題となっている。しかし一方では、その95%を地下から採掘するため、深刻な地盤沈下を生じて地表の物件や水利用に対して多大な被害を生じている。我が国ではかつて同様の沈下被害が生じた経緯があり、この分野での地盤環境の保全に関する技術水準は極めて高い。本研究は、この技術を中国の開発地域に適用して、その地盤環境保全に寄与することによって、我が国の技術研究対象を拡大させ、かつ両国間の学術国際協力を促進するものである。
本年度の成果は以下の通りである。まず、地盤環境監視、復旧グループを中心として、第2回日中地盤環境保全に関する研究交流フォーラムを中国三峡ダム貯水域地盤環境フォーラムと共催にて三峡地区で実施した。三峡ダム水没予定地点には多くの炭坑があり、水没後の地盤移動や汚染が考えられるため、共催となり、この機会に現地を視察した。フォーラムをまとめると次のようである。
・炭鉱の深部化にともなう地盤(地圧)の制御の問題は経済的生産の拡大、安全の確保、環境保全のために重要である。また、採掘による地盤沈下は影響をうける面積が中国では毎年200Km^2増加しているという重大な事態にあります。しかも、被害地の10%しか復旧していないことは今後の深刻な問題となる。
・中国での三下採掘は生産の確保のみならず今後の地盤環境問題に対しても重要な課題である。
・これらの推進には、時間的に、空間的に進展する現場の状況を正確に追跡、表現できる解析法を確立することが、まず重要である。
・次に、調査、解析、計測を結びつけるシステム的対応が求められる。
・炭鉱の寿命はあまり長くないので、廃止後の問題を解決するための技術が求められる。
・廃止鉱山、浅い空間の安定などの地盤環境問題も重要無視できない。
次に、中国から2名の招へいを行い、九州大学において研究打合せを行うとともに、北部九州旧産炭地域を視察した。今回は九大で開発した地盤沈下解析プログラムを華北地域のある現場に適用した。また、今後の研究に対してGIS技術についても検討することになった。

研究成果

• [文献書誌] 江崎哲郎 他3名: "浅い地下空間の設計と問題点" 土木学会空間シンポジウム論文・報告集. 第2巻. 15-23 (1997)
• [文献書誌] 江崎哲郎 他3名: "不連続性岩盤斜面の転倒崩壊機構に関する実験的および解析的検討" 第二回日中地盤環境力学国際学術討論会論文集. 67-74 (1996)
• [文献書誌] 江崎哲郎 他4名: "The Relation of Fractal Paraments on the Roughness Surfaces and Shear Strength of Natural Rock Joints" 第二回日中地盤環境力学国際学術討論会論文集. 124-131 (1996)
• [文献書誌] 江崎哲郎 他2名: "パーソナルコンピュータを用いた影響内地盤沈下解析システム" 第二回日中地盤環境力学国際学術討論会論文集. 177-182 (1996)
• [文献書誌] 将宇静、江崎哲郎: "Post-Failure挙動を考慮した軟岩トンネルの安定解析と支保設計について" 第二回日中地盤環境力学国際学術討論会論文集. 187-194 (1996)
• [文献書誌] 日中地盤環境力学校際研究センター、中国岩石力学学会: "第二回日中地盤環境力学国際学術討論会論文集" 中国煤炭工業出版社, 332 (1996)