研究課題/領域番号 |
07044175
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
水野 重樹 東北大学, 農学部, 教授 (90112903)
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研究分担者 |
NANCY Hutchi フレッドハッチンソンがん研究センター(アメリカ), スタッフサイエンティ
SOLOVEI Irin セントペテルスブルグ大学, 生物学研究所(ロシア), 研究員
MACGREGOR He レスター大学, 動物学科(イギリス), 教授
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キーワード | ニワトリ / 性染色体 / Z染色体 / ヘテロクロマチン / ゲノムライブラリー / FISH / ランプブラッシ染色体 / マクロサテライト配列 |
研究概要 |
核内で異常凝縮を示すヘテロクロマチンの分子構築はまだ解明されていない。本研究はニワトリの核内で顕著なヘテロクロマチンを形成する性染色体に注目して、そのDNA配列の性質を明らかにすることを目的とするものである。特に、これまで研究されていない、Z染色体端部のヘテロクロマチンを構成するDNAのクローニングと塩基配列上の特徴、Z染色体上の存在様式について研究した。先ず、レーザーマイクロダイセクションとランダムなPCR法を適用して、1本のZ染色体の端部由来のゲノムライブラリーを作製した。このライブラリーからそれぞれ約12kbのインサートを含むpCZTH5-8,12-8の2クローンを選別した。分裂中期の染色体に対して蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)を行った結果、両クローンともZ染色体の一端のヘテロクロマチン部位に強いシグナルを与えた。12-8クローンの場合には1-4番染色体の端部にも弱いシグナルを与えた。卵母細胞からランプブラッシ染色体を分離して、FISHを行った結果、5-8配列はZ染色体一端の小ループ領域に広く、12-8配列はサブテロメア部位のリボン状大ループ(TBL)に分布することが明らかになった。小ループ、大ループで両配列が転写されていることがループ上のRNAへのハイブリダイゼーションにより示唆された。塩基配列レベルの解析により、5-8配列は約24kbのNheI断片に含まれるマクロサテライト配列で、この単位が約830回反復してZ染色体端部ヘテロクロマチンDNAのほとんど全てを構成していることが示された。5-8と12-8は約1.4kbの共通配列を含んでいた。5-8配列の大部分はGallus属に特有の進化上新しく増幅した配列であること、Wヘテロクロマチン構成DNAのような湾曲性を示さないこと、ゲノム中で高度にメチル化修飾を受けていることなどが明らかになった。
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