研究課題/領域番号 |
07044175
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
水野 重樹 東北大学, 農学部, 教授 (90112903)
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研究分担者 |
HUTCHISON Na フレッドハッチンソンがん研究センター, アメリカ, スタッフサイエンティ
SOLOVEI Irin セントペテルスブルグ大学, 生物学研究所,ロシア, 研究員
MACGREGOR He レスター大学, 動物学科,イギリス, 教授
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キーワード | ニワトリ / ニホンコウノトリ / W染色体 / Z染色体 / 性判別プローブ / ランプブラッシ染色体 / クロモメア / DNAメチル化 |
研究概要 |
ニワトリW染色体(雌特有の性染色体)DNAの約65%は高度湾曲反復配列のXhoI、EcoRIファミリーから構成されている。W染色体の一方の腕の大部分はEcoRIファミリーで、動原体周辺部は広くXhoIファミリーで占められている。この両ファミリーが占める領域の中間部に存在する約25kbの非反復DNA部位(CW-01)をクローニングし、その中の0.6kb EcoRI断片(EE0.6)の配列が調べた8目18種の鳥類のW染色体上に高度に保存されていることをサザンブロット解析で示した。EE0.6中からプライマー配列を選んでゲノムDNAに対してPCRを行うと雌のみから約380bpの増幅産物を与える種と雄ゲノムからも低レベルの増幅産物を与える種が存在した。これはZ染色体(雌雄共通の性染色体)上にもEE0.6関連配列が存在し、その塩基配列が種によってW染色体上のものと類似性が高いためと考えられた。そこで、PCRで後者の結果を与えるニホンコウノトリについて、W、Z染色体上のEE0.6相同配列をクローニングして塩基配列を比較したところ92%という高い類似性が示された。しかし、これらの配列中、数塩基の配列の異なる部位を選んでプラーマ-としてPCRを行うと雌ゲノムのみから増幅産物が得られた。このように、ニワトリEE0.6配列に基づく性判別が広い範囲の鳥類種に適用できることが明らかになった。また、ニワトリ品種間ではEcoRIファミリー含量に大、小2タイプが存在する。一方、エジプト産ファヨウミではXhoIファミリーの含量が著しく少ない。雌減数分裂前期のランプブラッシ染色体に対しEcoRI、XhoIファミリープローブを用いて蛍光in situハイブリダイゼーションを行って調べた結果、前者はクロモメア(染色小粒)1の、後者はクロモメア3の大、小と対応することが明瞭に示され、クロモメアと反復DNAファミリーの対応関係が明確になった。 ニワトリZ染色体短腕中部にMHM(male hypermethylated)regionを見いだした。この部位は雄の2本のZ染色体上ではともに高度にDNAメチル化を受けているが、雌の1本のZ染色体上では低メチル化状態にある。この部位では雌でのみRNAへの転写が行われており、その生物学的意味に興味がもたれる。
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