高等植物の発生・分化に関する日仏共同研究

1995 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 07044178
• 研究機関: 筑波大学
• 研究代表者: 鎌田 博 筑波大学, 生物科学系, 教授 (00169608)
• 研究分担者: DELSENY M. フランス, ペルピニョン大学, 教授 ; BARBIRーBRYGO ブリグー エイチ. フランス, 植物科学研究所, 主任研究員 ; SANGWAN R. フランス, ピカルディー大学, 教授 ; DUMAS C. フランス, リヨン高等専門大学校, 教授 ; 石川 恵子 千葉大学, 園芸学部, 助手 (20212839) ; RANJEVA R. フランス, ポールサバティエ大学, 教授 ; 猪口 雅彦 岡山理科大学, 理学部, 講師 (00213190) ; 京 正晴 香川大学, 農学部, 助教授 (70195395) ; 鳥山 欽哉 東北大学, 農学部, 助教授 (20183882) ; 佐藤 忍 筑波大学, 生物科学系, 講師 (70196236) ; 酒井 愼吾 筑波大学, 生物科学系, 教授 (60033388) ; 小柴 共一 東京都立大学, 理学部, 助手 (80117704) ; 半田 高 筑波大学, 農林技術センター, 講師 (00192708) ; 斉藤 力 筑波大学, 遺伝子実験センター, 助手 (90272153) ; 小野 道之 秋田県立農業短期大学, 生工研, 講師 (50201405) ; 野村 港二 筑波大学, 農林学系, 講師 (00183905)
• キーワード: 高等植物 / 胚発生 / 花芽形成 / 光形態形成 / 植物ホルモン / 情報伝達 / 分子機構 / 遺伝子操作

研究概要

昨年度仏側代表者が来日した際に日本側代表者と協議し、本年度は若手研究者5名を1-2カ月の中期派遣とすることで合意し、以下の4課題を中心に共同研究を実施した。
1.植物ホルモンの代謝及び情報伝達:仏側が単離したオーキシン過剰生産株と思われるシロイヌナズナの突然変異体を用い、日本側の有する解析技術を駆使し、確かにインドール酢酸(IAA)の生合成を司る一部の酵素の活性が上昇していることを明らかにできた。2.花芽分化と雌雄性:日本側がアサガオを用いて光周処理直後に発現する遺伝子をクローン化したところ、仏側がシロイヌナズナの種子cDNAライブラリーから単離した遺伝子の一種と相同性が高いことが判明した。そこで、両遺伝子の発現特性を比較し、両者は同じ遺伝子ファミリーを構成するが、その生理機能はかなり異なることが予想された。一方、高等植物の雌雄性は花の構造から判断されるため、花の構造を決定する遺伝子群の単離を日仏双方で進めており、特に今年度は、雌雄異株植物であるメランドリウムについて、雌雄間で発現に違いが見られる遺伝子のクローニングと発現解析を進めている。3.胚形成:日本側ではニンジンの不定胚形成時に特異的に発現する遺伝子、仏側ではトウモロコシの種子胚で発現している遺伝子のクローニングを進めており、両者の比較検討を進めている。また、仏側がニンジンのカルモジュリン結合タンパク質の抗体を調整したので、日本側ではこの抗体を用い、ニンジン不定胚形成に伴うその変動を調査している。4.園芸植物における遺伝子操作:フランスにおける園芸植物への遺伝子導入の現状と今後の農業的利用について詳細な調査を行うと共に、日仏双方で育成したRiプラスミドro1遺伝子導入園芸植物の形態及び生理特性について詳細な比較・検討を行った。

研究成果

• [文献書誌] H.Kamada,Y. Tachikawa,T.Saitou and H. Harada: "Effects of light and growth regulators on adventitious bud formation in horseradish(Armoracia rusticana)." Plant Cell Reports,. 14. 611-615 (1995)
• [文献書誌] K.Sakamoto,K.Shimomura,Y.Komeda,H. Kamada and S. Satoh: "A male-associated DNA sequence in a dioecius plant,Cannabis sativa L.21GC02:Plant Cell Physiol.," 36. 1549-1554 (1995)
• [文献書誌] T.Handa,T.Sugimura,E.Kato,H. Kamada and K.Takayanagi: "Genetic transformation of Eustoma grandflorum with rol genes." Acta.Horticulturae,. 392. 209-218 (1995)
• [文献書誌] K.Higashi,H.Kamada and H.Harada20GB04:The effects of reduced nitrogenous compounds suggests that glutamine synthetase activity is involved in the development of somatic embryos in carrot.: Plant Cell Tissue Organ Culture. (in press). (1996)
• [文献書誌] T.Koshiba,Y.Kamiya and M. Iino: "Biosynthesis of indole-3-acetic acid from L-tryptophan in coleoptile tips of maize(Zea mays L.)," Plant Cell Physiol.,. 36. 1503-1510 (1995)