研究概要 |
今年度は2項目について実験を行い,それぞれ以下の結果を得た. 1.これまでにクルマエビのサイナス腺から6種類の血糖上昇ホルモン族ペプチドを単離していたが,新たにもう1種のこの族に属するペプチドを得た.これらの7種類(Pej-SGP-I〜-VII)のペプチドについてすべてアミノ酸配列を決定した.生物検定により,血糖上昇活性を調べたところ,IVを除いてすべて活性を示した.これらのペプチドおよび同じくサイナス腺から純化した赤色色素凝集ホルモン(RPCH)と色素拡散ホルモン(PDH)についてウシエビの卵黄形成期の卵巣片を用いて^<35>S-メチオニンの取り込みによってタンパク合成に対する効果を調べたところ,血糖上昇活性を示した6種類のペプチドはすべてタンパク合成を抑制したが,IVおよびRPCH,PDHは促進活性も抑制活性も示さなかった.その抑制は,特定のタンパク質の合成を抑制するのではなく,全体の合成を抑制することもわかった.また,同じ検定系で20-ヒドロキシエクジソン,メチルファルネソエ-トは何の効果も認められなかった.これらのことから,血糖上昇活性をもつ6種のペプチドの卵巣におけるタンパク合成阻害はかなり特異性の高いものであると推定される. 2.ウシエビの卵黄タンパク質の構造を明らかにするために,これをSDS-PAGEによってサブユニットに分け,PVDF膜にブロットし,直接配列分析したり,あるいはタンパク分解酵素で消化した後,断片化したペプチドを配列分析することによっていくつかの部分配列を決定した.現在,これを基にして遺伝子のクローニングを行っているところがあるが,まだ,クローニングには成功していない.
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