BBTM湖(琵琶湖・バイカル湖・タンガニイカ湖・マラウィ湖)生態系における生物多様性促進機構の比較研究

1996 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 07044194
• 研究機関: 京都大学
• 研究代表者: 遊磨 正秀 京都大学, 生態学研究センター, 助教授 (80240828)
• 研究分担者: グラチェフ M. ロシア科学アカデミー陸水研究所, 所長 ; シデレヴァ V. ロシア科学アカデミー動物研究所, 主任研究員 ; リビンク A. マラウィ生物多様性保全研究所, 所長 ; タボロスキー M. コンラッド, ローレンツ比較行動学研究所, 副所長 ; ミリンディ G. ザンビア水産研究所, 主任研究員 ; ボコ S. ザイール国立陸水研究所, 研究員 ; ムリンブワ N. ザイール国立陸水研究所, 主任研究員 ; ションボ M. ザイール国立陸水研究所, 所長 ; 中井 克樹 滋賀県立琵琶湖博物館, 学芸員 ; 成田 哲也 京都大学, 生態学研究センター, 助手 (40025440) ; 西田 睦 福井県立大学, 生物資源学部, 教授 (90136896) ; 山岡 耕作 高知大学, 海洋生物教育研究センター, 教授 (20200587) ; 谷田 一三 大阪府立大学, 総合科学部, 教授 (20167505) ; 川那部 浩哉 京都大学, 名誉教授 (60025286)
• キーワード: 琵琶湖 / バイカル湖 / タンガニイカ湖 / マラウィ湖 / 生物群集 / 生物多様性 / 種間ネットワーク構造

研究概要

BBTM湖生態系は、固有種の豊富な淡水の系である。これらの湖生態系では、タンガニイカ湖の魚類群集において明らかにされてきているように、ある側面において競争的な関係にある種類どうしが、共存している場においては協調的な関係をもつために、一層多様な生物群集が成立していることが予想されている。本申請研究の目的は、これら歴史の古い湖における生物群集について現地調査による比較検討を行い、それぞれの湖生態系に固有の環境ならびに生物群の特徴にもとづく、多様な生物群集の成立を促進させてきた生態学的機構を浮き彫りにすることにある。
平成8年度は、これらタンガニイカ湖、マラウィ湖、バイカル湖、および琵琶湖において、現地研究者(あるいは外国人研究者)と共同調査ならびに研究討議を行った。タンガニイカ湖では、南部のムプルング(ザンビア国)を拠点とし、シクリッド科魚類の繁殖様式や摂食様式を場所基質の形状、微生息場所の散在様式と関連させて現地調査を行った。また、平成7年度よりマラウィ大学との共同研究を始めたマラウィ湖では、これまでの研究の乏しい湖北部カタベイに調査拠点を設け、魚類群集の水中観察を始めた。マラウィ湖は、藻食魚、底生動物食魚、プランクトン食魚、魚食魚など、群集構造の構成はタンガニイカ湖のものに類似しているものの、捕食魚や鰭食魚などに対する共同的防衛という点ではタンガニイカ湖のものより未発達のようである。バイカル湖ではイルクーツク(ロシア)を拠点に、琵琶湖では大津を拠点にし、現地調査ならびに研究討議を行い、魚類や底生動物などの群集の種構成からみた生物多様性のなりたちと種間のネットワーク構造からみた生物多様性との関係を、食物連鎖の上位のものの存在様式に注目して比較検討を行った。

研究成果

• [文献書誌] Yuma,M.& Kondo,T.: "Interspecific relationships and habitat utilization among benthivorous cichlids." Kawanabe,H.et al(ed.)Fish Community in Lake Tanganyika.Kyoto Univ.Press. 87-104 (1997)
• [文献書誌] Kawanabe,H.: "Asian great lakes,especially Lake Biwa." Env.Biol.Fish.47. 219-234 (1996)
• [文献書誌] Yamaoka,K.: "Trophic ecomorphology of Tanganyikan cichlids." Kawanabe,H.et al(ed.)Fish Community in Lake Tanganyika.Kyoto Univ.Press. 25-56 (1997)
• [文献書誌] Nishida,M.: "Phylogenetic relationships and evolution of Tanganyikan cichlids:a molecular perspective." Kawanabe,H.et al(ed.)Fish Community in Lake Tanganyika.Kyoto Univ.Press. 1-24 (1997)
• [文献書誌] Kohda,M.,Hori,M.& Nshombo,M.: "Inter-individual variation in foraging behaviour and dimorphism in predatory cichlid fishes." Kawanabe,H.et al(ed.)Fish Community in Lake Tanganyika.Kyoto Univ.Press. 121-136 (1997)
• [文献書誌] Mboko,S.K.& Kohda,M.: "Pale and dark dichromatism related to microhabitats in a herbivorous Tanganyikan cichlid fish,Telmatochromis temporalis." J.Ethol.13. 77-83 (1995)
• [文献書誌] Kawanabe,H.,Hori,M.& Nagoshi,M.: "Fish Community in Lake Tanganyika" Kyoto University Press, 298 (1997)