研究課題/領域番号 |
07044210
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研究機関 | 岡崎国立共同研究機構 |
研究代表者 |
江口 吾朗 岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所, 教授 (80022581)
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研究分担者 |
TSONIS Panag デイトン大学, 生物学部, 教授
小阪 美津子 岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所, 助手 (50270476)
餅井 真 岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所, 助手 (90202358)
児玉 隆治 岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所, 助教授 (90161950)
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キーワード | 発生 / 再生 / 分化転換 / 遺伝発現 / 色素上皮 / レンズ / イモリ / アフリカツメガエル |
研究概要 |
有尾両生類のイモリでは、レンズが虹彩色素上皮細胞の分化転換によって再生され、無尾両生類のアフリカツメガエルでは、幼生期でのみ、レンズが角膜上皮細胞の分化転換によって再生される。本年度では、このような種によるレンズの再生様式の差異と、レンズの発生と再生との異同とを、レンズ特異的遺伝子及び眼形成を支配するPax-6遺伝子の発現調節の観点から、共同研究計画を鋭意実施し、下記の成果を納めることができた。 両生類のレンズは、将来神経性網膜に分化する眼胞前部の誘導作用によって眼胞に近接する頭部表皮外胚葉から形成される。また、イモリでは、レンズが虹彩色素上皮が脱分化し胞状構造(レンズ胞)を形成し、レンズの発生と同様な経過で再生される。イモリのレンズの発生過程では、レンズの構造形成が完了するまで、α-クリスタリン遺伝子はレンズ胞前壁(将来のレンズ上皮)及びレンズ上皮では決して発現されないが、レンズ再生の過程では、この遺伝子がレンズ胞前壁及びレンズ上皮で共に発現されることが明らかにされた。この事実は、特定の組織・器官の再生はそれらの発生の繰り返しではないことを、遺伝子発現の視点からはじめて実証したもので、その学術的意義は大きく今後の研究の重要な基礎となる。また、アフリカツメガエルでは、眼形成の早期から将来のレンズ形成域を含む頭部表皮外胚葉でPax-6遺伝子が発現され、発生の進行と共にその発現がレンズ形成域に収斂するのに対し、イモリでは、頭部表皮外胚葉が眼胞に近接してはじめてそのレンズ形成域に局所的に発現されることが明らかにされた。この事実は、アフリカツメガエルの角膜上皮からのレンズ再生は角膜上皮のレンズ形成能に大きく依存すること、また、イモリのレンズ形成はより強く眼胞の誘導作用に依存することを強く示唆し、今後の研究の展開に極めて有用な知見として位置づけられる。
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