研究課題/領域番号 |
07044213
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
有賀 早苗 北海道大学, 医療技術短期大学部, 助教授 (90184283)
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研究分担者 |
有賀 寛芳 北海道大学, 薬学部, 教授 (20143505)
IVO Galli スタンフォード大学, 医学センター, 研究員
WANG Teresa スタンフォード大学, 医学センター, 教授
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キーワード | 複製 / 転写 / MSSP / C-MYC / 細胞周期 / 酵母 / DNAポリメラーゼα / 核移行阻止 |
研究概要 |
複製・転写調節因子MSSP-1およびMSSP-2は細胞内でC-MYC、cdcキナーゼを含む複数のタンパク質と複合体を形成していることが判明した。MSSP/MYC相互作用には、MSSPタンパク質の特異的DNA塩基配列認識に要求されるN末端領域ではなく、C末端領域が必要であった。C-MYC側では、mycファミリータンパク質に共通なN末端付近のmyc box領域が相互作用に要求され、C末端のHLHやLeuZip構造は含まれず、MYC/MAX系等とは異なった新しいMYC複合体形成分子機構が判明した。さらに、酵母の系を用いてMSSPおよびC-MYCがそれぞれDNA複製の主体酵素であるDNAポリメラーゼαと直接結合することを確認し、MSSPがin vitro系においてDNAポリメラーゼαの酵素活性を促進することも見い出した。MSSP、C-MYCは互いに直接結合して複合体形成するものの、どちらかというと同一DNA配列の認識やDNAポリメラーゼα、cdcキナーゼ等の同一タンパク質との結合において競合的に働き、それにより複製・転写ならびに細胞周期の調節を行っていることが強く示唆され、MSSPもC-MYCと同様に細胞周期のG1期からS期への進行を制御・確認するライセンス因子であることが示唆された。また、MSSP-1、2のcDNAは、MSSP-2の中間に挿入された48塩基を除いて同一であり、塩基配列特異的DNA結合活性、複製転写促進活性、細胞形質転換能等の生理活性においても両タンパク質間に違いが認められなかったが、細胞内局在性が全く異なっていた。MSSP-1は核に局在したが、MSSP-2は上記48塩基配列(16アミノ酸)依存的に核への移行を阻害され、細胞質に留まっていた。これまで積極的にタンパク質を核へ誘導する核移行シグナル配列は同定されているが、核移行を阻止する配列の報告はなく、このMSSP-2特異的な48塩基からなる核移行阻止シグナル配列は世界に先駆けた新しい知見である。
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