研究課題/領域番号 |
07044216
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
近藤 尚武 東北大学, 医学部, 教授 (20004723)
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研究分担者 |
VON Blitlers オランダ癌研究所, 生化学部門, 部長
GLOMSET John ワシントン大学, 医学部, 教授
阪上 洋行 東北大学, 医学部, 助手 (90261528)
後藤 薫 東北大学, 医学部, 助教授 (30234975)
加納 英雄 札幌医科大学, 教授 (70045475)
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キーワード | ジアシルグリセロールキナーゼ / イノシトールリン脂質 / 脳 / アラキドン酸 / 核局在 / ショウジョウバエ / ラット |
研究概要 |
生体膜のイノシトールリン脂質(PI)代謝回転は外界刺激により活性化されて、各段階での産物が二次メッセンジャーとして作用したり、分泌機構や細胞骨格調節に深く関与することが知られてきた。この代謝回転に関与する酵素の重要性の鑑み、それら酵素の分子多様性を明らかにすることが、本研究の一義的目的である。本年度はそのうちジアシルグリセロール(DG)キナーゼに絞って、分子生物学的に追求した。DGキナーゼには我々が既に二種の独得の発現を示す分子種をラットで報告してきたが、今回新たに独自で二種、国際共同で一種の計三種の分子種を同定することが出来た。それらをDGキナーゼIII,IV,V型と名付けた。III型は小脳特異発現を示し、IV型は大脳と小脳の皮質に広く発現し、V型は精巣に強く発現する。III型は酵素活性が膜と可溶性画分双方に等しく検出される特徴を示し、IV型は一次構造上に核移行シグナルを持って核に局在する。IV型はさらにショウジョウバエで見出された網膜変性の原因になりうるDGキナーゼと高い相同性を持つ。一方、V型はアラキドン酸特異的酵素活性を持つことが判明し、この分子種がホスファチジルコリンやホスファチジルエタノースアミン由来でなくP1由来のDGを特異的に代謝することが明らかになった。これらの新たな分子種に対する特異的抗体を作製して培養細胞を用いた細胞生物学的解析を国際共同の基に進める予定である。さらに、P14-キナーゼとホスファチジン酸ホスファターゼについても未だ分子の一次構造が殆ど不明であるので、その解明にも鋭意努力する予定である。
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