研究分担者 |
佐々 茂 ロックフェラー大学, 血液生化学, 研究室長
ROMEO PaulーH INSERM, 血液分子遺伝学, 部長
ENGEL James. ノースウェスターン大学, 生化学・分子生物学, 教授
赤木 玲子 岡山県立大学, 保健福祉学部, 教授 (50150967)
山本 雅之 筑波大学, 基礎医学系, 教授 (50166823)
|
研究概要 |
造血組織におけるヘム合成で負のフィードバックが働かないことが、大量のヘモグロビンを赤血球分化に必要な4日(ラット)から7日(ヒト)という短期間に合成できる基本的なメカニズムであるというのが、本研究を申請するに当たっての核心となる発見であった(Fujita et al.,1991)。さらに、我々はこの現象には赤血球系転写因子が関係しており、ことにNF-E2が大きな役割を果たしており、この現象には赤血球型δ-アミノレブリン酸合成酵素(ALAS-E)を介したヘム合成が大きな役割を果たしていることを示した(Meguro et al.,1996)。 先般、出版された本研究の成果に、ALAS-Eを欠損したES細胞を用いた研究がある(Harigae et al.,1998)。この細胞を分化誘導した場合、GATA-1、NF-E2といった赤血球系転写因子の発現誘導は野生型細胞と異ならなかったが、細胞内へのヘム量、ベンチジン陽性細胞、β-メジャーグロビンの発現が極めて減少していることが明らかとなった。したがってALAS-Eを介したヘム合成はNF-E2の転写活性に影響している(Nagai et al.,1998)ばかりでなく、後期赤血球分化時における成熟型のグロビン合成を正に制御していることが示された。 一方、我々は一般型δ-アミノレブリン酸合成酵素(ALAS-N)の発現がNFкB認識配列により負に調節されているだけでなく(Fujita,1997)、代表的赤血球系転写因子GATA-1認識配列を介しても負に制御されていることを見い出している。
|