研究課題
岡戸・志賀を中心として以下にある研究計画を行ってきた。ニワトリ脊髄におこる新しいタイプの神経細胞死としてセロトニンまたはモノアミン欠乏性の神経細胞死が考えられてきた。即ち、セロトニンの神経賦活因子様作用としてシナップス形成維持の促進作用が明らかにされているが、セロトニンの減少によるシナップス密度の低下がシナップスを介して受け渡しされる賦活因子の減少を招き、結果的に神経細胞の生存を左右するために神経細胞死が生ずると考えられてきた。これまでにセロトニンの神経毒、代謝阻害剤、受容体拮抗薬によって孵化直後の、また後期胚の脊髄運動ニューロン数が減少することが確かめられている。神経細胞死がアポトーシスによるものであるかをTunel法により現在検討中である。モノアミン欠乏性の神経細胞死が大脳皮質でも生じている可能性を確かめるためにマウスにモノアミンの欠乏を招くレセルピンを投与し、Tunel法でDNA断片化を指標にしてアポトーシスの出現頻度を定量化した。その結果レセルピン投与2日後に対照群に比べ20倍程度高率にDNA の断片化を確認した。しかしカテコールアミンの細胞間隙への一時的な増加が細胞傷害性をもたらしている可能性も考えられるので、現在セロトニン、カテコールアミンの単独または同時除去を行い細胞死の出現頻度を定量化している。オッペンハイム・ホエノウを中心として神経細胞死の発生機序の分子生物学的解析を行い、特に各種のプロテアーゼが神経細胞死の発生機構に重要な役割を果たしていることを明らかにした。八木沼・本間も各種の神経賦活因子特にアクチビン関連因子が神経細胞死の引き金になっていることを頚髄に発生早期に出現する神経細胞死で確かめている。
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