研究課題
コレステロール生合成後段階酵素の1つスクアレン・エポキシダーゼ酵素(SE)のcDNAをラット、マウス、ヒトのライブラリーより単離し、そのORFを決定した。更にその大腸菌及び分裂酵母に発現系を構築した。大腸菌においては膜結合ドメインと推定されるN端の100アミノ酸残基を欠失させ、更にC端6個のHis-Tagを付けたリコンビナント酵素を発現させ、その上清よりイオン交換、キレートカラム、ブルーアガロースカラムを用いて精製した。この精製した酵素標本を用いて本酵素の活性、蛋白化学的性状を明らかにし、また抗体を調製した。更に同標本を用いてニューヨークのPrestwich教授のグループと共同研究を行い、FAD並びに基質結合部位の同定を行なった。基質結合部位についてはベンゾフェノン誘導体の基質アナログによるペプチド解析から配列PHPLTGGGMT近傍を有力候補として推定した。精製したリコンビナント酵素は結晶解析に利用するためその高濃度酵素液の調製条件を検討した。一方、ヒトの培養細胞がリポ蛋白欠失血清培地下において、SEが蛋白質、RNAレベルにおいて共に増加しており、SE発現が転写レベルにおいて調節されていることをHMG-CoA還元酵素並びにLDL-レセプターと比較しながら明らかにした。更にオキシステロール、HMG-CoA阻害剤、SE阻害剤存在下におけるSE遺伝子の転写レベルでの動態を明らかにした。更にヒトSE遺伝子、染色体局在、並びにプロモーター領域の解析について、既にスクアレン合成酵素について行なっているメリ-ランドのShechter教授との討議を基に進めている他、転写因子についての検討をはじめている。またSEの細胞内での分解過程(ハーフライフ)の検討に着手した。
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