研究分担者 |
JEANNEL Domi パスツール研究所オンコジーンウイルス疫学ユニット, 助教授
田井 秀明 新潟大学, 歯学部附属病院, 助手 (30272826)
鈴木 卓 新潟大学, 歯学部, 助手 (00251827)
吉江 弘正 新潟大学, 歯学部, 助教授 (20143787)
GUY de THE パスツール研究所オンコジーンウイルス疫学ユニット, 教授
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研究概要 |
1)HIV関連歯周炎(HIV-P)における局所免疫応答と全身の免疫応答を比較検討し、歯周組織破壊に寄与すると思われる特徴的な病態の検索。 方法:パスツール研究所附属病院に入院中のCDC-IV度AIDS患者33名の歯周診査を行い、歯周疾患を呈する患者21の内15名に対し歯肉溝洗浄を施行し、回収した洗浄液から白血球分画を分離して、多重染色フローサイトメトリー(FCM)を用いて解析。末梢血白血球を全身免疫状態を反映する検体とした。表面抗原の検索ではCD4/CD8,CD11b/CD16,CD16/CD68,CD4/CD45ROの4項目を、細胞内p24発現細胞に関しては抗p24抗体KC57をそれぞれCD66b,CD68と組み合わせて検索した。 結果及び考察:CDC-IV度AIDS患者における歯周疾患罹患率は63.6%、HIV関連歯周炎罹患率は48.5%と、高頻度でみられた。FCMの結果、HIV-P由来GCFには多くのp24発現マクロファージが浸潤しており、総浸潤白血球の10%以上を占め、末梢血の10倍の値を示した。また、GCF中好中球は顕著なCD16bの発現低下を起こしており、IgGを介した生体防御機能に不全を来していることが伺われた。 結論:GCF中p24発現マクロファージはHIV感染集団と思われ、これらの細胞内でウイルスが増殖しうる事を示唆している。好中球上CD16bの発現低下による生体防御機能の低下と併せて、GCF中白血球の解析によって見られたこれらの応答は歯肉局所特異的であると考えられる。 2)HIV関連歯周炎(HIV-P)罹患局所に浸潤するp24発現マクロファージの由来と歯周組織特異的な分化様式の検討。 方法:CDC-IV度AIDS患者23名から採取した歯肉溝滲出液中白血球と末梢血由来白血球におけるp24発現単核食細胞(MoP)の比率と細胞内p24の蛍光強度を、三重染色によるフローサイトメトリー法にての比較検討した。細胞分画の同定はCD4/CD8/CD14で行い、p24発現MoPはCD14/CD68/KC57を用いて同定・検索した。 結果:GCF白血球中でCD68+/p24+及びCD14+/CD68+/p24+分画が占める比率は末梢血中よりも有意に高く(p<0.0001;p<0.003)、CD14+/p24+は末梢血に比べてGCFで有意に低かった (p<0.035)。CD14+
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/CD68+及びCD14+細胞中の細胞内p24の蛍光強度(FI)は血中よりもGCFで有意に高かったが(p、0.02;p<0.003)、CD14-/CD68+マクロファージでは、GCFと末梢血の間に差は見られなかった。また、GCF中CD68+細胞のp24FIは末梢血中のCD4+リンパ球数と負の相関を示しており(p<0.005)、GCF・末梢血両者でのCD14+細胞のp24FIの間に正の相関が見られた(p<0.02)。CD14-/CD68+マクロファージに関してはGCFと末梢血の間に有意な相関は見られなかった。 結論:HIV-P罹患局所由来歯肉溝滲出液中p24+MoPは末梢血由来であり、病巣へ浸潤した後に局所でマクロファージに分化することが示された。罹患歯肉に存在する種々の抗原とHIV感染によるMoP機能の変調並びに末梢血よりも著しく早いと推測されるマクロファージへの分化がHIV-Pにおける組織破壊様式に関わっていると思われる。 3 HIV関連歯周炎(HIV-P)における免疫生物学パラメーターと臨床パラメータとの関連性の検討及びその特性の分析。 方法:CDC-IV度AIDS患者91の歯周診査を行い、HIV-Pを呈する44名(48.35%)の内、38名について精査、gingival index(GI)、ポケット深さ(PD)、付着の喪失(LA)、歯槽骨の吸収(BL) の4種の臨床パラメーターを記録した。他方、局所免疫応答については歯肉溝洗浄液から得られた歯肉溝滲出液(GCF)中白血球と末梢血中白血球中のp24発現マクロファージをフローサイトメトリーにて解析した結果を、全身的免疫能の視標としては末梢血中CD4+リンパ球数を免疫生物学的パラメーターとして用いた。その結果得られた横断的データを主成分分析(PCA)にかけた。尚、HIV-Pの臨床的特徴をより明らかにするため、AIDS患者と同年齢層の非感染成人性歯周炎(AP)患者との臨床パラメーター値の比較を行った。 結果:GI,LA及びPDはAPに比べてHIV-Pで有意に高かった(p<0.05,0.001 and 0.01)。HIV-P群内比較では、LAとGCF中CD68/p24細胞分画(%CD68/p24)(p<0.05)、及びCD4+リンパ球数とBLとの間に有意な相関が見られた(p<0.05).PCAの結果、HIV-Pを制御する因子の内3因子が強く作用しており、分散の75%を説明していた。第一因子組織破壊を反映するGI,LA,BLと%CD68/p24が強く影響していた。第二因子では%CD68/p24,BL及びT4,の影響が強く、さらに%CD68/p24はT4とBLに対して負の相関を示していた。第3因子は年齢,T4,BLによる影響を表していた。 結論:HIV-Pは重篤な歯周組織の破壊とp24発現マクロファージの浸潤よって特徴付けられる。歯肉の破壊にp24発現マクロファージの浸潤が深く関わっている反面、BLによって反映される歯槽骨の吸収とp24発現マクロファージの浸潤はそれぞれ異なる病期におこることが示唆された。 隠す
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