研究課題/領域番号 |
07044240
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
清木 元治 東京大学, 医科学研究所, 教授 (10154634)
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研究分担者 |
トンプソン エリク ジョージタウン大学, 癌研究所, 準教授
ゴールドバーグ グレゴリ ワシントン大学, 医学部, 教授
岡田 明子 東京大学, 医科学研究所, 助手 (00233320)
佐藤 博 金沢大学, がん研究所, 助教授 (00115239)
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キーワード | 癌 / 転移・浸潤 / 乳癌 / マトリックスメタロプロテアーゼ |
研究概要 |
乳癌細胞は基底膜分解酵素のセラチナーゼAを細胞表面で活性化するために膜型マトリックスメタロプロテアーゼ(MT-MMPs)を発現している。昨年度の研究により、MT1,MT2,MT-3-MMTの中でもMT1-MMPが最も高頻度に乳癌細胞に発現しており、セラチネ-ゼAの活性化に関係していると結論した。一方で、G.l.Goldbergらはヒト線維芽細胞株を用いた実験ら、細胞表層でもゼラチナーゼAの活性化にはMT1-MMPに加えてインヒビターであるTIMP-2が必要であるいことを明らかにしていた。インヒビターが酵素作用に必須であるという知見は大きな自己矛盾を含むために、この点を解析するために、G.l.Goldbergとの共同研究によって、ビーズに固定化したMT1-MMPを用いるインビトロのモデル系を構築して解析することにより、以下の成果を得た。 1、ビーズに固定化したMT1-MMPはゼラチナーゼAの活性化能を弱いながら持っていた。 2、TIMP-2を加えることによって活性化を促進された。 3、活性化の促進効果はゼラチナーゼAがTIMP-2を介してMT-1MMPと結合すること(3分子複合体)と相関していた。 4、促進効果は3分子複合体とフリーのMT1-MMPが共存する条件下のみ観察された。 以上のことから、細胞表層ではTIMP-2はMT1-MMPと複合体を形成し、周辺のゼラチナーゼAをMT1-MMP存在部位へと濃縮する役割を負っていると結論された。
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