研究課題/領域番号 |
07044241
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研究機関 | 福井医科大学 |
研究代表者 |
小辻 文和 福井医科大学, 医学部, 教授 (50153573)
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研究分担者 |
TSANG Benjam University of Ottawa Reproduction Medica, 教授
AMSTERDAM Ab The Weizmann Institute of Science Dept. o, 教授
細川 久美子 福井医科大学, 医学部, 助手 (60199495)
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キーワード | 顆粒膜細胞 / オンコジーン / ステロイド産生 / P450scc / アドレノドキシン / p53 / アポトーシス / 細胞外マトリックス(ECM) |
研究概要 |
卵巣顆粒膜細胞は卵胞発育・閉鎖の過程で数及び機能形態が著しく変化するが、このメカニズミは不明である。この解明にはヒト顆粒膜細胞を用いたin vitroの研究が不可欠である。しかし、卵巣より直接得られる顆粒膜細胞は既に機能分化が進み、しかも寿命が短く、上記の実験モデルとしては限界があった。我々は今回の研究で、オンコジーンをヒト顆粒膜細胞に導入することで安定した細胞株を得ることに取り組み、これに成功した。このようにして得られたヒト卵巣顆粒膜細胞株は以下の特徴を備えることを明らかにした。 1.この細胞株はホルモンのセカンドメッセンジャーの一つである細胞内のPKA系路を直接刺激すると大量にプロゲステロンを産生する。つまりステロイド産生という機能分化を果たす。その中で最も重要な鍵を握るのはP450scc酵素複合体の一員であるアドレノドキシンであることがわかった。 2.p53温度感受性変異プラスミドを導入しているため、37℃で培養すると細胞は盛んに増殖するが、温度を32℃に下げると典型的なアトポ-シスを起こして死んでいく。プロゲステロン産生中に温度を32℃に下げるとより多くの細胞がアポトーシスを起こしてくるが、プロゲステロン産生量はほとんど変わらなかった。即ちアポトーシスはステロイド産生にほとんど影響を及ばさず両者は共存することが示唆された。ステロイド産生とアポトーシスの間にどのようなシグナルの相関があるのかはまだ解明されておらず分子生物学的にこれを探っていきたい。 3.この細胞株を細胞外マトリックス(ECM)上で育てると通常の培養と比べて形態的に変化が現われ、プロゲステリン産生はより強力に押し進められるがアポトーシスは起こりにくくなることがわかった。今後ECMの中に含まれるどの成分・因子がこれらをコントロールしているのか研究を進めていきたい。
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