研究課題/領域番号 |
07044241
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 福井医科大学 |
研究代表者 |
小辻 文和 福井医科大学, 医学部, 教授 (50153573)
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研究分担者 |
TSANG Benjam Medical Unit., University of Ottawa Repro, 教授
AMSTERDAM Ab Dept. of Mole. Cell Biology, The Weizmann I, 教授
細川 久美子 福井医科大学, 医学部, 助手 (60199495)
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研究期間 (年度) |
1995 – 1996
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キーワード | 顆粒膜細胞 / 莢膜細胞 / 細胞間相互作用 / オンコジーン / ステロイド産生 / アポトーシス / 卵成熟 |
研究概要 |
1.ワイツマン研究所との共同研究 卵巣顆粒膜細胞は卵胞発育・閉鎖の過程で著しい機能分化を呈するが、そのメカニズムは不明である。この解明にはヒト顆粒膜細胞を用いたin vitroの研究が不可欠である。しかし、卵巣より取り出した顆粒膜細胞はその寿命が極端に短いことが原因となりin vitroの研究には限界があった。今回の共同研究では、ヒト顆粒膜細胞にオンコジーンを導入することで安定した細胞株を得ることを目的とした。 平成7年4月〜5月に小辻がワイツマン研究所を訪れ、アムステルダム博士と研究プロジェクトを立案した。双方の研究室で研究準備を進めた後、平成7年1月に細川がワイツマン研究所を訪れた。また、平成8年8月には、中間打ち合わせのためにアムステルダム博士が福井を訪れている。 今回の研究で、世界で初めて、ヒト卵巣顆粒膜細胞にオンコジーンを導入し不死化させることに成功した。また、このようにして得られた細胞株は以下の特徴を備えることを明らかにした。 1)PKA系路の刺激により大量にプロゲステロンを産生する。また、P450scc酵素複合体のアドレノドキシンがキ-・エンザイムである。 2)p53温度感受性変異プラスミドを導入しているため、37℃で培養すると盛んに増殖するが、32℃ではアトポ-シスを起こす。しかしアポトーシスはプロゲステロン産生に影響を及ぼさない。今後アポトーシスにともなうステロイド産生の分子機構を解明したい。 3)この細胞株を細胞外マトリックス(ECM)上で培養すると、通常とは異なる形態変化を示し、プロゲステロン産生は増強する。しかしアポトーシスは抑制される。ECMの中のいかなる成分がこれらを調節するのかを解明したい。 2.オタワ大学との共同研究 オタワ大学とは、顆粒膜細胞のアポトーシスを莢膜細胞からのシグナルがどのように調節するかを共同研究した。まず、平成7年7月より小辻がオタワ大学を訪問し、3ヵ月に渡りニワトリ卵巣細胞のコラーゲン膜上での共培養法とDNA Fragmentation Assay法を確立した。このテクニックを用いて、オタワ大学ではニワトリ顆粒膜細胞をもちいて、また福井医科大学ではウシ顆粒膜細胞を用いて研究した。この研究により、ニワトリ卵巣においては、卵胞発育の初期に莢膜細胞からのシグナルが顆粒膜細胞のアポトーシスを促進するという成績を得た。しかし、この現象は、ウシ卵胞細胞では確認することができず、さらに研究を進める必要がある。 3.プロジェクトの将来に備え福井医科大学で行われた研究 顆粒膜細胞の機能は卵胞発育の過程で著しく変化する。従って莢膜細胞による顆粒膜細胞の機能調節も卵胞発育の段階で変化する可能性がある。ワイツマン研究所やオタワ大学との共同研究の将来のためにはこの点を明らかにしておく必要がある。この目的で以下の二つの研究を行った。 1)莢膜細胞による顆粒膜細胞のホルモン産生調節:卵胞発育過程での変化 顆粒膜細胞のホルモン産生に及ぼす莢膜細胞の影響が、卵胞発育の過程でどのように変化するかを検討した。発育初期の卵胞では、顆粒膜細胞のEstradiol、Progesterone、Inhibin産生能は、莢膜細胞の存在によりいづれも強く抑制を受けること、一方、十分に発育した卵胞では、顆粒膜細胞のホルモン産生は莢膜細胞の存在により逆に増強した。また、卵胞の発育段階において、顆粒膜細胞は、莢膜細胞からの同一のシグナルに対して異なる反応を示すことも判明した。 この結果は、莢膜細胞からのシグナルが、卵胞発育の初期には顆粒膜細胞の分化を抑制し、発育が進むにつれ分化を促進する方向に働くことを示す。 2)卵胞液内諸物質の顆粒膜細胞機能に及ぼす影響:卵胞発育過程での変化 卵胞液内には様々な物質が含まれ、これらの濃度は卵胞発育過程で著しく変化する。この研究では、卵胞発育過程にみられる卵胞液内のエストロゲンやアンドロステンジオン濃度変化が、顆粒膜細胞の卵成熟抑制能にどのように影響するかを観察した。顆粒膜細胞-莢膜細胞養系を、卵胞液内濃度のエストロゲンやアンドロゲンであらかじめ処理し、この培養系の上で未熟卵を培養し、卵核胞の消失時間を比較観察した。発育初期卵胞内濃度のエストロゲンは顆粒膜細胞の卵成熟抑制能を促進し、逆に成熟卵胞内濃度のエストロゲンはこれを抑制した。このような効果はアンドロゲンには観察されなかった。即ち、卵胞液内物質もまた卵胞発育過程での顆粒膜細胞の機能分化を調節することを示唆する。
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