研究課題/領域番号 |
07044244
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
児玉 逸雄 名古屋大学, 環境医学研究所, 教授 (30124720)
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研究分担者 |
BOYETT Mark 英国リーズ大学, 生理学, 教授
本荘 晴朗 名古屋大学, 環境医学研究所, 助手 (70262912)
外山 淳治 名古屋大学, 環境医学研究所, 教授 (20023658)
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キーワード | 洞房結節 / 細胞歩調取り機能 / 電気生理学的多様性 / イオンチャネル / 細胞内イオン動態 / 細胞自動能 / 心臓 |
研究概要 |
1.洞房結節多細胞標本を用いた電気生理学的実験 家兎右心房から洞房結節中心から辺縁部に至る様々な部分を含む多細胞微小標本を作成し、活動電位に対するイオン電流阻害薬の効果を中心部と辺縁部で比較した。Na^+電流阻害薬のtetorodotoxinは辺縁部の活動電位立ち上がり速度と自発興奮頻度を低下させたが、中心部の活動電位には変化を与えなかった。Ca^<2+>電流阻害薬のnifedipineは中心部の立ち上がり速度と自発興奮を著しく抑制したが、辺縁部では自発興奮頻度はむしろ軽度増加した。過分極活性化電流(i_f)の選択的阻害薬である低濃度Cs^+あるいはzatebradineは、辺縁部のペースメーカー電位と自発興奮頻度を有意に低下させたが、中心部ではその効果は軽度であった。 洞房結節単離細胞を用いた電気生理学的実験 家兎と洞房結節の単離細胞から活動電位と膜電流を記録し、細胞の大きさとの関係を検討した。結節中心部由来の小型の細胞では、辺縁部由来の大型の細胞に比し、最大拡張期電位やtake-off電位が深く、活動電位振幅や立ち上がり速度が大きかった。自発興奮頻度は小型の細胞ほど大きかった。Ca^<2+>電流密度は細胞の大きさとの間に有意の相関を示さなかったが、Na^+電流及びi_fの電流密度は大型の細胞の方が大きかった。 以上の結果より、(1)洞房結節中心部の歩調取り細胞では自発活動電位の発生がCa^<2+>電流に依存しているのに対して、結節辺縁部の細胞ではNa^+電流の関与が大きいこと、(2)i_fがペースメーカー電位発生へ寄与する程度は辺縁部の方が大きいことが明らかになった。このような洞房結節細胞の電気的特性の多様性は種々の病態下においても結節全体として歩調取り機能を維持する機構として重要な役割を果たしていると考えられる。
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