研究課題/領域番号 |
07044249
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
清水 章 京都大学, 遺伝子実験施設, 教授 (00162694)
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研究分担者 |
STORB Ursula シカゴ大学, 分子遺伝学/細胞生物学科, 教授
MARTIN Teren シカゴ大学, 分子遺伝学/細胞生物学科, 教授
縣 保年 京都大学, 遺伝子実験施設, 助手 (60263141)
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キーワード | 抗体クラス変換 / 抗体遺伝子 / S領域 / 遺伝子組換え / 非組換え型転写 / トランス・スプライシング / トランスmRNA / 多重アイソタイプ同時発現 |
研究概要 |
我々は、抗体クラススイッチの中間過程とも考えられる、多重アイソタイプの同時発現がtrans-splicingによって起こるとの仮説を提示し、ヒト膜型μ鎖遺伝子導入マウスなどの脾臓細胞を用いるモデル実験によって、導入遺伝子の可変部と内在性のマウス定常部とからなるmRNA(trans-mRNA)が産生されることなど、これを支持する結果を得てきた。 今回は、クラススイッチを完結する遺伝子組換えが起こり、これに必須であると考えられる、S領域を欠く導入遺伝子をdonorとしてもtrans-mRNAの発現が誘導できるか否かを検討した。 マウス発現型γ2b鎖遺伝子導入マウスであるC lineの導入遺伝子は、SμおよびSγ2b領域が人工的に欠失させてある。このマウスの脾臓細胞をLPSとIL-4の刺激下に4日間培養しtrans-mRNAの産生を誘導した。この細胞から得たRNAを用いて、導入遺伝子可変部と内在性γ1鎖およびε鎖定常部に特異的なprimerによるPCR法を行ない(RT-PCR法)、trans-mRNAを検出した。その結果、LPSとIL-4の刺激依存的にγ1鎖およびε鎖trans-mRNA特異的RT-PCR産物が検出された。その構造は、nested PCR法および蛍光式DNA sequencer-analyzerを用いたdirect sequencing法によって確認した。 今回の結果からtrans-mRNAがdonor遺伝子のS領域には依存しない機構によって産生されることが示された。この事実は、trans-mRNAの発現が染色体間のS-S組換えにはよらないことを意味し、RNAレベルでの発現機構すなわちtrans-splicingによるものであることを一層強く支持している。
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