研究課題
本国際共同研究で、長寿に関与する食環境要因と遺伝因子を分析する予定の地域との中で、今年度はブラジルとハワイの日系人を対象に調査した。ブラジル日系人では脂肪摂取は増加しているが血清コレステロール値の上昇はなかったにも関わらず虚血生心電図変化の出現が増加しており、これに極端な魚介類の摂取低下が関係していることを、これまでの共同研究で証明してきた。一方、同じ日系人でもハワイ在住者は肉類の摂取は多くなっているが、魚介類の摂取は週に2回程度で、血清コレステロール値は上昇傾向にあるが、虚血清心電図変化は日本在住の日本人と大差はなかった。そこでハワイでの研究成績を基礎として、2週間に1度しか魚食をしないブラジル日系人の高血圧患者に魚食やEPA,DHAの補充、タウリンの補充による介入研究を実施するための基礎調査を行った。インフォームドコンセントが得られた対象者について、10週間これらの栄養改善因子を積極的に摂取していただいた後、血圧、血清脂質のプロフィル、フイブリノーゲンなどへの影響を観察し、魚食、大豆、海藻などの循環器疾病予防やそれによる長寿への寄与を、ハワイ日系人と比較して明らかにしつつある。(本研究は次年度で完成するため、最終結論は書けない。)