研究課題
1、田中は、酵母のtwo hybrid systemを用いてXPA(色素性乾皮症A群)蛋白質と結合する新規の蛋白質、XAB2蛋白質(XPA-Binding Protein2)を同定した。HeLa細胞粗抽出液から、抗XAB2蛋白質抗体によりXPA蛋白質が免疫共沈降でき、また、抗XPA蛋白質抗体によりXAB2蛋白質が免疫共沈降でき、細胞内でのXPAとXAB2の結合を確認した。そして、田中とHoeijmakersは共同実験により、XAB2がCSAやCSB(コケイン症候群のAとB群)とも結合するすることを明かにした。CSは、転写ないし転写と共役した修復機構に異常をもつことが知られており、XAB2がこれらの機構に重要な役割を担うことが示唆された。2、田中が作成したXPA欠損マウスとHoeijmakersが作成したCSB欠損マウスを交配し、XPA/CSBダブル欠損マウスを樹立した。それぞれ単独の欠損では、ヌクレオチド除去修復能を欠損しているものの、マウスは大きな病理学的、形態学的異常や行動の異常を示さなかったのに対し、XPA/CSBダブル欠損マウスは生後20日以内に死亡した。このことは、XPAとCSBの関与する機構が異なり、それらが同時に欠損するとマウスは致死になることを示唆する。3、花岡は、XPC蛋白質を精製しその遺伝子をクローニングするとともに、XPCと強固に結合する58kDaの蛋白質も精製した。花岡とHoeijmakersは共同実験を行い、58kDaの蛋白質が酵母RAD23DNA修復蛋白質のヒトホモログ(HHR23B)であることをみつけた。さらに、花岡とHoeijmakers、Woodは共同研究で、HHR23BおよびそのホモログHHR23Aもヌクレオチド除去修復の素過程に必須であることを明かにした。4、安井は、ショウジョウバエなどの光回復酵素遺伝子と相同性の高い遺伝子をヒト、マウスからクローニングした。安井はHoeijmakersと共同して、光回復酵素遺伝子のマウスホモログ遺伝子をノックアウトしたマウスを作成しつつある。
すべて その他
すべて 文献書誌 (6件)