研究課題/領域番号 |
07044272
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
高田 賢蔵 北海道大学, 医学部, 教授 (30133721)
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研究分担者 |
杉浦 亮 北海道大学, 医学部, 助手 (20241317)
今井 章介 北海道大学, 医学部, 講師 (60232592)
サグデン ビル ウィスコンシン大学, マカードル研究所, 教授副所長
SUGDEN Bill McArdle Laboratory, Wisconsin University
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研究期間 (年度) |
1995 – 1996
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キーワード | EBウイルス / 遺伝子治療 / ウイルスベクター |
研究概要 |
EBVには従来ウイルス増殖のための細胞が無かった。われわれはEBV増殖に許容性の細胞(Akata-)を新たに分離し、本細胞を用いて組み換えEBVを大量に増殖できるシステムを確立した。しかし、EBVにはある種のヒト癌との関連が示唆されており、遺伝子治療のベクターとしてEBVを使用するためには、安全面の改良が必須である。今年度は以下の研究を行った。 1.発癌活性の無いEBV産生システムの開発 EBVの発癌遺伝子LMP1を欠失したEBV作製を試みているが、現在まで成功していない。Akata EBVとB95-8 EBVで塩基配列に違いがある可能性を考え、Akata EBVのLMP1領域の全塩基配列を決定した。並行して、Aklata EBV由来の相同組み換え用プラスミドを作製し、組み換えEBV作製を試みている。 2.増殖性を無くしたEBV産生システムの開発 EBVの増殖に必須なBALF2遺伝子を欠失したEBV作製を試みているが、現在まで成功していない。相同組み換え用のプラスミドののりしろ部分を大きくしたプラスミドを作製し、さらに実験を行っている。BALF2遺伝子を発現するパッケージング細胞はすでに作製した。 3.アンプリコン系の開発 EBVの複製起点とパッケージングシグナルをもつプラスミド(これをアンプリコンDNAと呼ぶ)ウイルス産生細胞へ導入すると、アンプリコンはウイルスDNAと同様に複製され、ウイルスゲノムに相当する長さのアンプリコンコンカテマ-がウイルス粒子としてパッケージされる。つまり、人工的に合成したDNAをウイルスDNAのかわりにしてウイルスの殻をかぶせるのである。 200kbを越えるEBV DNAはウイルス粒子にパッケージングされないことを利用し、巨大ゲノムEBV感染細胞を作製し、この細胞をパッケージング細胞として利用する。 この実験では三段階の過程を経る。第一段階では、ウイルスDNAにneo耐性遺伝子と蛍光蛋白GFP遺伝子を導入する。この組み換えではウイルスDNAを欠失させることなく、ウイルスDNAの配列を保存するような挿入型ターゲッティングを行った。このウイルスをEBV陰性Akata細胞へ感染させた細胞クローンを分離する。第二段階では、BFP遺伝子をドライブするプロモーターとGFP遺伝子のORFの間に挿入されているloxP配列を標的にしてハイグロマイシン抵抗性遺伝子をもつ30-50kbのプラスミドを組み込ませる。ハイグロマイシン耐性と同時にGFPが発現しなくなったクローンは巨大ゲノムEBVのみが感染する細胞であり、これをパッケージング細胞とする。第三段階では、この細胞ヘアンプリコンDNAを導入してウイルス産生を誘導する。 現在、第一段階が完了している。 4.平成9年2月に共同研究者であるサグデン博士を研究代表者の研究室へ招へいして、相互の研究結果についての検討を行った。また、平成9年1月と3月に日本側研究者3名がサグデン博士の研究室を訪問し、米国側研究者と相互の研究結果についての検討を行った。
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