研究課題
本研究は、CD45による制御がB細胞分裂化段階に依存して異なってくる可能性について検討し、その分子機構を明らかにしようとして始められた。その結果、次のことが明らかになった。第一に、CD45は成熟B細胞において、未熟B細胞の場合と明らかに異なる作用機序を有していることが明らかとなった。すなわち、CD45は、抗原レセプター刺激後に誘導される増殖制御をポジティブにしかも決定的に制御しているが、アポトーシスには関与しておらず、いずれの過程をもネガティブに制御している未熟B細胞の場合と対照的であった。第二に、CD45遺伝子をCD45陰性クローンへ発現する予備実験の段階で、未熟B細胞株由来のCD45陰性クローンにおいて、CD45と結合する蛋白(CD45-AP)の発現が低下していることを明らかにした。このことは、CD45の機能を理解するためにはCD45-APの役割を解明する必要があることを示唆している。第三には、アポトーシスを制御しているチロシンホスファターゼを同定する過程で、造血細胞チロシンホスファターゼ(HCP)の関与が示唆された。その作用機序を明らかにするために、HCPに結合する蛋白を解析した。その結果、少なくとも3種類の分子がHCPと結合していること、その中の75kDの蛋白は、コレツキ-博士のグループが報告していたSLP-76という分子であることを明らかにした。その他のHCP結合分子の性状について現在解析している。
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