研究課題
1995年10月にフランス、グルノ-ブル大学を訪問し、現在の日本の図形教育の現状を説明し、日本で、図形学習ソフト「カブリ・ジオメトリ」を利用した図形の授業での効果、問題点とフランス側で行われている授業について話し合いを行い、今後の研究方向を決めた。その結果、従来の比較研究から離れ、両国の教授と学習の特徴を取り出し、個々の事項について研究する方法をとって行くことになった。特に、証明と論証の取り上げ方は、わが国とフランスとでは全くの逆であり、その背景と実体を解明することとした。日本の中学校の図形の課題の1つである相似や合同条件を使った証明問題について、フランスでは、どの様に指導され、生徒がどの様に問題解決を行うか調査することになり、現在行っている。フランスでは、相似、合同条件を指導していない。さらに、日本では、図形の証明が重要であり、生徒にとって、図形が困難なものになる原因にもなっている。そこで、フランスで行われている証明、すなわち、友達に説明する(explanation)という指導を日本の授業でもとり入れ、その効果を検討することにした。従来の証明問題の提示方法を変え、問題の中の性質や定理を推測し、それを友達に説明するという形式にし、短大生8組を使って実験を行った。なお、今までの研究で、推測を行うとき図形学習ソフト「カブリ・ジオメトリ」は生徒の活動を助けることが示唆されているので、実験では「カブリ・ジオメトリ」を使って、問題解決を行った。そのときの活動をビデオに撮り、観察し、どの様な会話が展開されるかを調査した。中学以来図形の学習はしておらず、定理もほとんど覚えていない学生達が、自分で見つけた図形の性質を論理的に説明していることが観察された。今後、中学校の授業で、友達に説明する活動を図形学習において行い、その効果を調査、分析する計画である。
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