研究課題
改革・開放と市場経済のもとでの中国社会の変貌には目を見張るものがある。それとともに、言葉の変化も著しく、新語が次々と生まれる一方、中華人民共和国成立前に使用されており、その後死語同然であった言葉が再び復活しているという現象も数多く見受けられる。本プロジェクトでは、社会と家庭の両面から近年の中国の言語を調査・研究し、その成果を日本の中国語教育・研究に反映させることを目的としている。平成7年度には商業活動と呼称についての調査に取り組んだが、平成8年度にはこの研究を引き続き継続するとともに、新たに家庭生活に重点を置いた言語調査を進めた。前者については、平成8年10月に「中国人の言語生活の変遷(1)-商業活動に見る言語生活の変化-」「中国人の言語生活の変遷(2)-呼称の研究-」の二点の報告書としてまとめた。平成8年度に開始した調査については、相当数の映像資料を収集するとともに、百数十名にのぼるアンケート調査を実施し、整理・分析を加えた。これらについても、近々、報告集の形でまとめるべくその作業を進めている。中華人民共和国成立後の30年間とその後の20年では、社会の変化とともに言語の面での変化にも大きな違いが生まれている。日本の中国語教育にもその変化を取り入れなければならない。例えば、日本のほとんどの中国語教科書に見られる“同志"という呼称は、現在中国の若い人々の間ではほとんど使われない。それに代り、多種多様な呼称が用いられるようになっている。プロジェクト最終年度に当たる平成9年度も引き続き、年代別、男女別、地域別の日常生活における言語調査を進めていかねばならない。
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