研究分担者 |
皮 細庚 上海外国語大学, 日本語学部, 教授
平井 和之 東京外国語大学, 外国語学部, 講師 (10199028)
臼井 佐知子 東京外国語大学, 外国語学部, 助教授 (70185007)
小林 二男 東京外国語大学, 外国語学部, 助教授 (10107831)
高橋 均 東京外国語大学, 外国語学部, 教授 (40015392)
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研究概要 |
近年の中国における政治・経済体制の変革は中国人の言語生活の面にも大きな変化をもたらしている。3年間にわたる北京・上海を中心とした調査では、呼称・商業活動・衣食住に関する言語調査を行った。 呼称の面では従来の中国社会における呼びかけの際のもっとも一般的な呼称「同士」の使用頻度の著しい低下,「先生」「小姐」などの敬称の復活,「阿姨」などの親族呼称の一般呼称への転用の増大,「朋友」などの新呼称の出現といった新たな現象について一定の解明を行った。 商業活動における言語も欧米・日本などの先進国の影響と伝統の復活が著しい。生活向上にともない,一般庶民の利用も増えた喫茶店や美容院,花屋などの屋号として「〜庁」「〜屋」が出現し盛んに用いられるようになっていること,「招租(テナント募集)」「股〓有限公司(株式会社)」など従来資本主義制度下のみに見られた表現の復活,日本語からの借用表現「営業中」の南方から中国全地域への拡大といった様相を調査した。 また衣食住に関しては中国人家庭で実際に用いられる口語表現の収集に努めた。日常生活のレベルで実際に使用される口語表現については従来空白になっていたと考えられるからである。例えば,外国から新たに流入してくる衣類についてもカタログなどに見られる書面語とは別に実際に口頭で使用される言葉は異なることが多い。 今後の日本における中国語教育と研究に反映すべく,上記の調査・研究を冊子「中国人の言語生活の変遷(1)〜(4)」にまとめ報告した。
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