研究課題
東北大学側が、主として傾斜機能材料供試材の作製、バーナー炎加熱熱衝撃試験、および繰り返しビッカース圧子圧入試験を実施し、ワシントン大学側が、実験-数値解析ハイブリッド法による破壊靭性評価試験を実施した。それらの結果の比較検討を行い、熱衝撃試験における傾斜機能材料の破壊損傷のメカニズムおよび本材料特有の破壊抵抗の発現のメカニズムを明らかにした。概略は以下の通りである。ジルコニア/ステンレス鋼製傾斜機能材料のついて、実環境を模擬したバーナー炎加熱熱衝撃試験を行い、傾斜機能材料における亀裂の発生条件および進展形態を明らかにした。亀裂の発生は熱衝撃負荷時の応力発生とその集中および材料内における欠陥の分布形態に依存すること、および傾斜機能材料における最も典型的な損傷は、冷却時に発生する表面縦亀裂であること、ならびにその亀裂の進展は傾斜組成制御層の存在により効果的に抑制されることを明らかにした。また、繰り返しビッカース圧子圧入試験を考案し、同上の傾斜機能材料について破壊靭性の評価を行い、熱衝撃破壊特性との比較を行った。繰り返しビッカース圧子圧入試験は従来の破壊靭性評価法に比べて、薄い傾斜層の破壊靭性の評価に適しており、比較的簡便であるという特長がある。本法について材料力学的および破壊力学的考察を行い、傾斜機能材料の破壊靭性の評価法としての有効性を明らかにした。さらに、実験-数値解析ハイブリッド法による亀裂進展破壊特性の評価実験を行い、傾斜機能材料における亀裂の進展特性を明確に把握した。本結果により、傾斜機能材料における亀裂の進展および破壊抵抗発現のメカニズムが明らかになった。本国際共同研究は傾斜機能材料の破壊力学に対して基本的な知見を与えたものであり、今後の傾斜機能材料の研究の進展に大きく資することが期待される。
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