研究課題
本研究は、核融合炉開発のための最重要課題であるプラズマ-材料相互作用(PMI)の次世代装置における課題として重要なトリチウムの使用ならびに高熱流束要素材料開発に向けての技術課題について、基礎的な実験と解析に基づき多角的に検討することを目的としている。平成7年度は、日本側は、"超透過"(入射フラックスにほぼ匹敵する割合(0.1以上)で水素同位体の透過が生じる特異的な現象)を呈するとされるニオブ(Nb)を対象に、重水素イオンビーム照射実験を行った。As receivedの状態で入射重水素イオンフラックスに対する重水素透過フラックスの割合を評価した結果、約0.1となった。しかも、重水素の透過中下流側表面をアルゴンイオンで照射したところ、数倍以上透過フラックスが増大することを見出した。また、双方の協力で開発した低エネルギーイオン照射装置を用い、100〜1500eVの入射エネルギー領域において、Nb表面に対する粒子反射係数を実験的に評価することに成功した。その結果を、ロシア側で開発した計算プログラムによる計算結果と比較したところ、両者は良好な一致をみた。上述した成果は、1995年7月にオーストラリア・リンツで開催された固体中イオン挙動に関する国際シンポジウム、同年9月にモスクワで開催された核融合炉材料国際会議ならびに日ロワークショップにて発表するとともに、今後の協力の進め方についての討議を行った。
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