研究課題
本研究は、核融合炉開発のための最重要課題であるプラズマ-材料相互作用(PMI)の次世代装置における課題として、トリチウムの使用ならびに高熱流束要素材料開発に向けての技術課題について、基礎的な実験と解析に基づき多角的に検討することを目的としている。第2年次にあたる平成8年度に得られた成果の概要は以下の通りである。(1)低放射化材料として注目されるTi-6Al-4V合金に対して重水素イオン注入実験を日本側で行い、照射後昇温脱離法により、入射エネルギー150-1500eV/Dの範囲での粒子反射係数(R_N)を評価した。一方、表面分析の結果、試料の表面には、イオウ(S)や炭素(C)により被覆されていることが分かった。これらの存在は、ロシア側が行った数値計算によるとR_Nを減少させると考えられるが、実験による検証が今後の課題である。(2)水素再結合過程に関する理論的解明がロシア側で精力的に行われ、日本側で得られた従来の実験結果が良く説明できることが示された。(3)ロシア側グループを中心にプラズマ中のイオン種を質量分析する装置が開発され、その試作品が日本側のプラズマ発生装置で試験された。(4)日本側でトリチウムを用いたイオンビーム注入実験が、ニッケル(Ni)ならびにモリブデン(Mo)に対して行われ、材料中保持量に関して同位体間で差異がないか検討を始めている。上述した成果のうち(1)、(2)は、1996年5月に、それぞれ、イタリア、フランスで開催されたトリチウム国際ワークショップやプラズマ-表面相互作用国際会議、さらには、同年8月に水戸で開催された「量子エネルギーシステムにおける界面効果」国際ワークショップ(日ロワークショップを兼ねる)にて発表された。
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