研究課題
本研究では、プラズマ-材料相互作用(PMI)の問題を炉開発のための最重要課題であると捉え、次世代装置における課題として、トリチウムの使用ならびに高熱束速要素材料開発に向けての技術課題について、基礎的な実験と解析に基づき多角的に検討してきた。最終年次にあたる平成9年度に得られた成果の概要は以下のとおりである。(1)ロシア側で低エネルギー重水素イオンビームを用いて、Nb表面に対する粒子反射実験を行った。今回初めて、入射エネルギー10eV/D以下の領域での粒子反射係数が実験的に評価された。従来は入射エネルギーが低くなるにつれ、反射係数は単調に増加すると考えられていたが、試料表面による拘束力の増加により反射が抑制されるようになったと考えられる。さらに、このような表面の影響を考慮した数値計算を行い、実験結果と比較するとともに、モデルそのものの妥当性について双方で議論を行った。(2)低エネルギー水素粒子源として、原子状ビーム装置の調整を双方の協力により行い、日本側の装置を用いて原子状水素による透過実験が可能になった。(3)ロシア側と共同でプラズマの周縁部のイオン種を質量分析する装置を作製し、お互いのプラズマ発生装置に組み込み、イオン種の測定を試みた。現状では測定感度は必ずしも十分ではなく、改良の方策について双方で議論を行った。(4)日本側で、トリチウムを用いたイオンビーム注入実験をモリブデン(Mo)に対して行った。実験では、昇温脱離法により保持量を評価し、これを、軽水素、重水素の場合の結果と比較した。上述した成果は、1997年9月にモスクワ開催された第6回日ロワークショップ、さらに、同年10月に、仙台で開催された第8会核融合炉材料国際会議、などで発表された。
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