研究概要 |
環日本海沿岸諸国の中で、我が国と韓国は,海岸線付近に基幹産業や大都市が存在する形態となっている。したがって津波や高潮などの海岸災害に見舞われた場合,これらの沿岸域が氾濫域となり多数の住民が災害の被災者となる可能性が高い。とくに近年,顕在化している地球の温暖化とそれによって起こると予想される海面上昇に関す問題は,これらの地域に居住する人々にとりきわめて深刻な問題となることが予想される.本研究は,この海面上昇と,それに伴う諸現象とくに海岸侵食問題を日本海に面した鳥取大学と韓国海洋大学校(釜山市)との研究者が学術交流協定に基づき共同して調査研究し,日本海における長期的な海面上昇とそれに伴う海岸侵食ならびにその防止法について検討するものである。 平成7年度は日本および韓国の日本海(韓国では東海といわれている)沿岸域における潮位記録を収集するとともに,長くて週去30年にわたる海水準変動の長期変動について分析した。次に,長期的海面変動による海浜断面の応答モデルを誘導した。 平成8年度は高潮(Storm Surge)などの比較的短期の海面変動による海浜断面の応答モデルについて実験的ならびに解析的に検討した. 平成9年度は,海浜断面の変化が海水面の長期変動と短期変動が重畳して生じるものであるので,これらの両者による海浜断面の応答モデルの統合化を図った。本研究において蓄積してきた海浜断面変化に関する実験データと数値モデルの予測結果を比較検討し,数値モデルの適用性および予測信頼度を評価した.最後に,ケーススタディとして,日本海沿岸の数地点における海面変動による地形変化量を求めた.
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