研究課題
本年度は韓国のダム湖および河川の状況を両国の研究者が共同で調査し、共通の認識を得ることを第一目標として調査、研究を行なった。調査対象とした韓国内のダムは10か所、河川ならびに湧水は19か所で、東海岸側の河川を除く韓国全地域である。これらのダム、河川の基本的な水質を測定し、地質条件との関連性を検討し、水質の地域特性の解析を行なっている。調査を行なったダムのほとんどは上水の水源として利用されていたが、特に中流部、下流部のダムの富栄養化がはなはだしく、藍藻類による水の華現象がみられた。今回観察された藍藻類の主な藻のはMicrocystis属が5種、Anabaena属が4種、Oscrllatoria属が1種であり、多くの水域から藍藻の毒性物質であるミクロシスチンが検出された。しかし、これまでに韓国のダムからも報告されていたアナトキシンは検出されなかった。これらの水域は上水の取水が行なわれていることから、藍藻類の繁殖は大きな社会問題ともなっており、浄化対策が検討されている。わが国でも同様な事例があり、わが国の浄化対策が韓国にとっても参考となり得るとの理解が両国の研究者の一致した意見となっている。10月には、韓国側の研究者が来日し、夏の現地調査の結果を検討しつつ、今後の共同研究の方向性について意見交換を行なった。その結果、平成8年度には本年度調査が行なえなかった韓国東海岸を調査対象に加え、韓国全土の基本水質と地質との関連性を解析すること、富栄養化の進行している代表的ないくつかのダムを集中的に調査、研究し、わが国の現状を含めて、ダム湖の有効な浄化対策を検討することで了解した。
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