研究分担者 |
金 凡徹 韓国江原大学校, 自然科学大学, 教授
安 泰夾 韓国江原大学校, 自然科学大学, 教授
渡辺 義人 信州大学, 繊維学部, 講師 (10021172)
朴 虎東 信州大学, 理学部, 助手 (20262686)
林 秀剛 信州大学, 理学部, 教授 (60087129)
AHN Tae-sok KWANDONG UNIV., FAC.SCIENCE,PROFESSOR
KIM Bom-chul KWANDONG UNIV., FAC.SCIENCE,PROFESSOR
|
研究概要 |
水域の富栄養化とそれに伴う藍藻類、特にMicrocystisを主体とする水の華現象(アオコ現象)について、日韓での共同研究を行った。日本の場合には自然湖沼、韓国では人工湖が調査の主な対象とされた。研究結果の概要を以下に記す。 (1)1995年から1997年にかけて、夏期に藍藻類による水の華現象が生じている韓国の12の湖沼と人工湖からサンプルを採取、検鏡したところ、Microcystis属6種、Anabaena属6種とOscillatoria属2種が得られた。各湖から得られた47サンプルに含まれている藍藻毒素同定の結果、4種のmicrocystins(microcystins-RR,-YR,-LR,desmethyl-7-LR)とanatoxin-aが検出された。韓国の富栄養水域の主な藍藻毒素はMicrocystisに由来するmicrocystinであるが、幾つかの水域からはAnabaenaに由来するanatoxinも検出されている。水の華現象を呈している水域でのmicrocystinの濃度は、凍結乾燥した藻体の乾燥重量1g当たりで、20〜1,500μgの範囲であったが、水中に溶存する細胞外microcystinは検出されなかった。しかし、水道水源に利用されているダムについては今後十分な注意が必要である。 (2)日本の代表的な富栄養湖である諏訪湖について、保存されていたサンプルを含めて、microcystinの分析を行ない、microcystinの経年的な変化と環境条件との関係を解析した。また、水中に排出されたmicrocystiが分解される過程追跡のために、microcystin分解菌を分離、同定した結果、Sphignomonas属であることを確認した。 (3)水域の生態系を構成している生物群集へのmicrocystinの影響を知る目的で二枚貝と魚類へのmicrocystinの蓄積について検討した。その結果、二枚目の筋肉部分からmicrocystinのRR型とLR型が検出されたが、諏訪湖の主要魚種であるフナとワカサギからは検出されなかった。
|