研究課題
国際学術研究
水牛の生体における屠肉形質は超音波を利用することによって明瞭に映像として捉えることができる。脂肪層と筋層の境界は鮮明に解析でき、通常の肉用種の場合とほぼ同様であり、脂肪層および筋層の厚さや胸最長筋横断面積は、屠殺することなく十分に推定できることが認められた。Murrahバッファロ-(MB)、Philippine Carabaoバッファロ-(PC)およびそれらの交雑種(CB)の屠肉形質の超音波推定値に対する品種、性、繋養場所ならびに品種と性、繋養場所と性の交互作用の効果について最小自乗分散分析を行ったところ、品種の要因は、胸最長筋横断面積、筋間脂肪厚およびバラの厚さに対して有意な効果をもたらした。超音波測定した品種間の最小自乗平均値では、CBが最も大きな胸最長筋横断面積(第7胸椎部:30.1cm^2、第13胸椎部:35.3cm^2)と最も厚いバラの厚さ(36.4mm)を示した。すなわち、肉量の点でCBが最も優れていることが認められ、MBとPCの交雑によるヘテロ-シス効果が現れたものと考えられた。一方、PCは筋間脂肪厚が最も薄いことが認められ、また、水牛の皮下および筋問脂肪厚は通常の肉用種のそれらに比べて薄いことが認められた。性の効果は、いずれの形質推定値に対しても有意性を示さなかった。さらに、繋養場所の要因は、腹肪交雑を除くすべての屠肉形質に対して有意な影響を及ぼすことが認められた。なお、脂肪交雑はほとんどの個体で0から1-と極めて低い値であった。品種と性の交互作用の効果は、胸最長筋横断面積と脂肪交雑に対して、また、繋養場所と性の交互作用の効果は胸最長筋横断面積に対して、それぞれ有意な影響を及ぼすことが認められた。以上のように、水牛の屠肉形質推定のための超音波利用は、水牛の育種・選抜プログラムの上で欠かせないものであると考えられた。今後さらに本法を利用し、産肉能力の改良のためのより多くの情報を得る必要があると考えられた。
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