研究分担者 |
GRANT Mary ストラスクランド大学, バイオエンジニアリングユニット, 講師
WILKINSON Ro ストラスクライド大学, バイオエンジニアリングユニット, 講師
COURTNEY Jam ストラスクライド大学, バイオエンジニアリングユニット, 教授
BARBENEL Jos ストラスクライド大学, バイオエンジニアリングユニット, 教授
高久田 和夫 東京医科歯科大学, 医用器材研究所, 助教授 (70108223)
宮入 裕夫 東京医科歯科大学, 医用器材研究所, 教授 (50013892)
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研究概要 |
英国側から提供された患者から回収した骨セメントの試料6検体について日本側で分析を行った.まず安全性に最も関わる骨セメント中に残留するメチルメタクリレート(MMA)モノマーの定量を高速液体クロマトグラフ法で行った.分析条件については昨年度度確立しており,それにしたがって行った.6検体ともに残留モノマーはごくわずかであることが見出され,硬化直後に5%程度残留しているモノマーはほとんふぉ消失していた.ラマン分光分析の結果も残留モノマーがほとんどないことを示した. 残留モノマーの測定と平行して,骨セメント中の残留モノマーを減少させるような新しい骨セメントの試作を検討した.液体のモノマー成分には従来のMMAのほかにエチルメタクリレート(EMA)も用い,ポリマー成分としてフッ素系ポリマーおよびポリ(MMA),ポリ(EMA)あるいはMMA/EMA共重合体を組み合わせた.MMAにフッ素系ポリマーを配合すると,その配合量の増加とともに残留モノマーがかなり減少すること,べとつきも減少して操作性が向上することがわかった.また,モノマーにEMAを用いると,MMAにおいてフッ素系ポリマーを配合したのと似たような効果が現われ,残留モノマーの減少,べとつきの減少による操作性の向上が認められた.このように残留モノマーの少ない低毒性の新しいタイプの骨セメントになり得るもの2種が見出された.これについては,来年度日英両国で毒性試験を行う予定にしている. 材料学的解析については,患者からの骨セメント検体の形状が不定で試験片の作製が非常に困難なため,定量的データが得られていない.一応検討した微小押し込み試験もあまり有効な方法ではなく,試験方法をさらに模索している.実験室的に残留モノマーを減少させた試料を作製し,骨セメント劣化のモデル実験を行う計画も検討している.
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