研究分担者 |
RIGOR Eustac サントトマス大学, 医学部, 教授
LUMITAO Jose サントトマス大学, 医学部, 教授
TORRALBA Tit サントトマス大学, 医学部, 教授
SIN Ramon L. サントトマス大学, 医学部, 教授
SEVILLA Fort サントトマス大学, 理学部, 教授
SISON Lilian サントトマス大学, 理学部, 教授
CASTROーBERNA グロリア デ サントトマス大学, 理学部, 教授
KANAPI Carme サントトマス大学, 理学部, 教授
山本 典子 岐阜大学, 医療技術短期大学部, 教授 (70021409)
外崎 肇一 岐阜大学;農学部, 教授 (30103485)
荒木 陽子 岐阜大学, 医学部, 助手 (20176374)
李 憲 岐阜大学, 医学部, 助教授 (00212316)
SISON Lilian j. University of Santo Tomas, College of Science, Manila, Philippines. professor
CASTRO-BERNAS Gloria de University of Santo Tomas, College of Science, Manila, Philippines. professor
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研究概要 |
サントトマス大学の共同研究者たちの協力により,平成7年6月中旬に,フィリピンのセブ,マニラ,ダバオより16種類の水のサンプルを空輸した.そのサンプルは,次の通りである.A,井戸水(セブ市).B,水田の水(セブ市).C,港の海水(セブ市).D,河の水(セブ市).E,水道水(セブ市).F,水田の水(カビテ市,カビテ州,マニラ近郊).G,水田の水(ラグナ州,マニラ近郊).H,水田の水(バレンズエラ町,ブラカン州,マニラの北方).I,水道水(マカティ市,メトロマニラ).J,パッシグ河の水(パッシグ市,メトロマニラ).K,港の海水(パサイ市,メトロマニラ).L,水田の水(パナボ町,北ダバオ州).M,バンケロハン河の水(ダバオ市).N,水道水(ダバオ市).O,水田の水(ミンタル町,ダバオ州).P,港の海水(ダバオ州).これらのサンプルのうち,3種の海水からは,その塩分が強いため,農薬の測定が出来なかった.従って実際に用いられたサンプルは,13種であった. 岐阜大学を中心として,これらのサンプルから22種の農薬の含量を測定した.測定すべき農薬の種類は,サントトマス大学の人たちの意見により決定された.これら農薬の種類は,次の通りである.1,Simazine. 2,Thiobencarb. 3,Isoprocarb (MIPC) . 4,Fenobucarb (BPMC) . 5,Carbofuran. 6,Diazinon. 7,Marathion. 8,Ediphenfos. 9,Butachlor. 10,Cyhalothrin. 11,Cyfluthrin. 12,Cypermethrin. 13,Deltamethrin. 14,Phenthoate (PAP) . 15,Fenitrothion. 16,Oxadiazon. 17,Carbaryl (NAC) . 18,Pencycuron. 19,Mepronil. 20,Propyzamide. 21,Iprobenfos. 22,Isoprothiolane. 農薬の測定法としては,まずサンプルより土砂・懸濁物を遠心分離し,固相抽出用カラムにサンプルを通し,ついでこのカラムをジクロロメタンで溶出し,GC-MSで測定を行なった. すべてのサンプルにおいて,測定された農薬の含量は,日本における許容限度(0.001-0.0003mg/1)以下であった.しかしながら,これら農薬がまったく検出されなかった訳ではなく,例えばセブの井戸水(サンプルA)では,Isoprothiolan(No.22)(許容値:0.001mg/1)が,0.0007mg/1と,許容値の70%ほど見つかっている. 上記の結果より,採取されたサンプルに関しては,検査の対象となった農薬の残留はほとんどなかったといって良い.そしてこの結論を導くための,測定技術にはまず問題はないであろう.だからといって,フィリピンの水に,残留農薬がないという結論には,決してならない.このことを踏まえて,以下に今回の研究の反省点を記す.先ず比較的広くサンプルを集めたとはいえ,それは1度きりのことである.サンプルを集めた6月中旬が,農薬の使用時期に当たっているのかどうか,私は知らない.測定の対象になったものは,あくまでも残留農薬なので,季節を変え採取場所を変えて何度もサンプルを入手し、測定せねばならない.次に検査の対象とした農薬の種類が問題である.これらは正直に云って,日本でも使用が許可されているものであり、従ってその残留期間がそれほど長くないものが多い.「書物」(それがフィリピンのものだったとしても)の知識から測定すべき農薬を選ぶならば、どうしても「綺麗事」というか,合法的に使用が認められているものばかりを選ぶことになる。一方フィリピンでは,非合法な農薬も相当に使用されているという.これらはその性質上,殺虫効果が強く価格が安く,そのかわり人体に対する影響が強く,残留性も強いであろう.本研究では,このような薬物に対しては,まったく検索が行われていない.
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