研究分担者 |
EVOROV Anat ロシア厚生省医学, 生物学研究所, 教授
KOZLOVSKAYA ビー コズロフスカヤ ロシア厚生省医学, 生物学研究所, 教授
GRIGREIV An ロシア厚生省医学, 生物学研究所, 所長
杉山 由樹 名古屋大学, 環境医学研究所, 助手 (50240809)
岩瀬 敏 名古屋大学, 環境医学研究所, 助手 (90184879)
|
研究概要 |
健康ロシア成人6名を被験者として,dry immersionの前後において,安静時の筋肉交感神経活動および心拍変動,血圧変動を記録し,ヘッドアップティルトを負荷した際の反応性を検討した。筋肉交感神経活動はマイクロニューログラフィーにて,心拍変動は胸部双極誘導,血圧はフィナプレスにより測定した.1時間以上安静仰臥位に保った後,右脛骨神経から下腿三頭筋支配の交感神経活動を導出,同定,記録した.20°,40°,60°のヘッドアップティルトを負荷した.各角度には5分以上保ち,最後の1分間に15/分の統制呼吸を行った.その後,dry immersionを施行し,3日間ラバーシ-ツを張った中立温水に頭以外の全身を浸した.72時間後,仰臥位の姿勢を保ったままで,対側の脛骨神経から筋交感神経活動を記録し,同様のティルトを負荷した.その結果,6人の被験者のうち,1人がdry immersion後のティルト中に失神をきたした.この被験者はティルトに対し急激な頻脈が生じ,血管迷走神経性失神をきたした.筋交感神経活動は3日間のdry immersionにより有意に亢進した.筋交感神経活動の中枢性出力は,100心拍あたりのバースト数で表されるが,起立負荷時のそれは,dry immersion後に低下した.Dry immersion後においては,心臓交感神経活動の亢進と心臓迷走神経活動の低下が観察された.以上の変化から,dry immersion後においては,末梢の血管運動神経である筋交感神経活動よりも心による循環調節にその主役は移行するが,その補償としてティルト時に急激な頻脈がおきると失神をきたしたりすること,また,筋交感神経活動の中枢性出力が低下することが心循環失調に関連する可能性が示唆された.
|