研究課題/領域番号 |
07045051
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
楠岡 英雄 大阪大学, 医学部, 助教授 (00112011)
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研究分担者 |
LAWRENCE Joh ジョンズ, ホプキンス大学・医学部, 助教授
MARBAN Eduar ジョンズ, ホプキンス大学・医学部, 教授
松村 泰志 大阪大学, 医学部附属病院, 助手 (90252642)
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キーワード | 心筋 / 虚血 / カルシウム・ホメオスタシス / 再灌流 / スタニング / カルシウム・チャネル遮断薬 / 磁気共鳴法 |
研究概要 |
病的心筋における収縮性の異常は、細胞内イオン、特にカルシウム・イオンのホメオスタシスの異常がその病因となっていることが明らかにされつつある。本研究は、心疾患モデルにおけるイオン・ホメオスタシスの異常の役割を明らかにし、ひいては、心疾患治療への新しいアプローチを開発せんとするものである。本年度においては、急性虚血に伴うカルシウム・ホメオスタシスの異常と収縮性低下との関連について検討し、カルシウム・チャネル遮断薬の心筋保護の機序を明らかにした。短時間の急性虚血後、心筋を再灌流すると、心筋収縮機能の低下が残存し、その回復は遷延する(心筋スタニング)。心筋内カルシウム・イオン濃度は、虚血5〜10分後より次第に増加し、再灌流しても直ちには虚血前のレベルには回復せず、虚血・再灌流初期に一過性のカルシウム・オーバーロードを認め、これがスタニングの発生に重要な役割を演じていることが明らかにされている。カルシウム・チャネル遮断薬にはスタニングの防止作用が認められるが、一般に前投与を必要とする。今回の検討では、カルシウム・チャネル遮断薬の前投与を行うと虚血中のカルシウム・オーバーロードが抑制され、かつ、スタニングを防止すること、カルシウム・チャネル遮断薬の前投与がもたらす収縮性の低下を灌流液のカルシウム濃度の増加により補正すると、虚血中にも僅かなカルシウム・オーバーロードが生じ、かつ、再灌流直後のカルシウム・オーバーロードは制御されず、スタニングを発生すること、などが明らかとなった。以上の結果は、虚血中の細胞内カルシウム・オーバーロードに細胞外からのカルシウム・イオン流入が重要であること、かつ、細胞内のカルシウム・イオン貯蔵源からの流出も重要であることを示唆する。 なお、本年度ではジョンズ・ホプキンス大学から共同研究者を招聘し、大阪大学にて公開セミナーを開催した。
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