研究分担者 |
青山 公冶 鹿児島大学, 医学部, 講師 (70117472)
丁 桂英 中国医科大学, 教授
宋 芳吉 中国医科大学, 教授
神崎 保 鹿児島大学, 医学部, 教授 (80118801)
松山 隆美 鹿児島大学, 医学部, 教授 (30145479)
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研究概要 |
本年度では、松下敏夫等3名が8月中国を訪問し、今まで本研究で得られた成績について意見交換を行った。また、中国医科大学側の研究者との協力で、本研究の発表の場である国際職業環境免疫・アレルギー疾患シンポジウムが瀋陽で開催された。平成7年度と8年度に引き続き、日中間では慢性関節リュウマチの発症における免疫学的機序、自己免疫皮膚疾患の免疫遺伝学、職業アレルギーの疫学、接触皮膚炎の臨床疫学、職業性感作性物質の予知・評価等の課題に取り込んでいた。 本年度の研究を通じて、下記の知見が得られた。(1)慢性関節リュウマチの患者では、血漿中の可溶性CD14濃度が正常者より有意に高かった。また、可溶性CD14が存在した場合には、慢性関節リュウマチ患者の滑膜由来の繊維芽細胞はLPS刺激に対し強く反応した。(2)数種の自己免疫皮膚疾患に関して、中国人集団でその免疫遺伝学を検討した。アラフイナキシ-紫斑病の患者では、HLA-A30-31,B13,B35,B40,HLA-DR10の遺伝子の出現頻度は正常者より高かったが、HLA-DQ3,DQ6の発現頻度は正常者より低かった。また、慢性蕁麻疹患者では、HLA-A,B,B44(12),DR2,DR7,DQ2の出現頻度が正常者より高かったことが分かった。(3)中国の某アルミニウム精錬工場に置いて職業性皮膚炎の発症実態を調査した結果、陽極作業者、電解作業者、溶接作業者では、皮膚炎の有症率が事務系に比べ有意に高いことが分かった。また、皮膚炎の相対危険度は年齢と作業年数との増加に伴い増加する傾向が見られた。さらに、アレルギー個人歴、アレルギー家族歴、飲酒習慣は職業性皮膚炎の増悪因子として認められた。(4)動物実験では、ホルムアルデヒドの皮膚炎マウスでは、炎症皮膚におけるIL-4とIFN-gammaのmRNAは対象マウスの皮膚より強く発現したのみならず、皮膚炎症の指標である耳介肥厚反応との間には有意な正の順位相関が認められた。
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